「密輸船護衛」を副業にした中国海軍
江沢民は「党の指導者」であったにもかかわらず、非難された。江沢民は賄賂の好きな、権力志向と拝金主義の官僚を登用したのだ。江沢民の時代、中国共産党は腐敗と愛人が蔓延する好色拝金時代を迎えた。
「中国人民大学危機管理研究センター」2012年の調査(「官僚イメージ危機報告書」)によれば、汚職官僚の95%に愛人がいたといわれる。江沢民自身にも愛人がおり、有名歌手の宋祖英がその調査報告書に含まれていた。
ただ、徐才厚と郭伯雄は、習近平にとって潜在的な政敵だったので追い落とされた。
2015年4月、軍制服組の最高位をつとめた郭伯雄・前中央軍事委員会副主席の身柄を拘束し、汚職の疑いで取り調べを始めた。その前に郭の息子、郭正鋼・浙江省軍区副政治委員(少将)を収賄容疑で立件し、正鋼夫人の呉芳芳も拘束した。
父親が軍事委副主席だった立場を利用して、多額の賄賂を受け取り、昇進や軍用地の民間転売などで便宜をはかっていたのだ。こうした軍の腐敗は江沢民が軍の副業を黙認し、というより奨励し、ついには密輸船を海軍艦艇が護衛し、税関も買収されてフリーパスするという未曾有の「廈門事件」まで発生した。
習近平「汚職粛清」の実態
また、江沢民は軍を手なずけるために上将辞令を乱発して、軍の歓心をカネで買った。江沢民時代の上将は実に62名にものぼり、そのポスト獲得相場は1億円とも噂された。
同じ時期に軍事委副主席だった徐才厚は2014年に党籍を剥奪され、2025年3月に北京の病院で死亡した。
ついで公安系を牛耳っていた周永康を拘束し、汚職で起訴した。陣頭指揮は王岐山がとった。王岐山は汚職追放に辣腕を振るったが、粛正の対象は習近平の政敵の派閥だけに絞り込んでいたのである。温家宝一家も取り調べを受けた。
最初は王岐山の摘発活動に国民は喝采を送ったが、やがて王岐山一族の海南集団の大規模な金融詐欺が発覚すると、人気を失った。
習近平の国家主席就任前に最大の政敵とされた薄熙来は、夫人の英国人殺害事件に連座するかたちで失脚していた。
この薄と周永康は親密な間柄とされ、いずれも習近平にとっては専制政治の障害になる人脈だったのだ。



