最も長く販売されているのは「ぶどう味」
つくる・遊ぶ・食べるの3要素を同時に楽しめる「知育菓子」。菓子のジャンルのひとつとして広く浸透している言葉だが、実は日用品や医薬品、食品を手がける大手メーカー「クラシエ」の登録商標だ。
同社は作って食べる「手作りお菓子」市場のパイオニア的存在だ。今なお「市場で約7割のシェアをキープする」という不動の王者でもある。この王者の座への出発点となったのが、1986年に発売された「ねるねるねるね」だ。
専用の粉に水を入れて練ると色が変わってふくらみ、ふわふわした食感のお菓子が出来上がる――。「ねるねるねるね」はその不思議さと楽しさで当時の子どもたちの心をつかみ、魔女が登場する謎めいたCMも手伝って発売と同時に大ヒットした。読者の中には、子どものころ友だちと競うようにして練りまくった人もいるのではないだろうか。
あれから40年がたった今も、コンビニやスーパーの菓子コーナーに行けばそこには「ねるねるねるね」が並んでいる。最も息が長いのは99年発売の「ぶどう味」で、他にもメロン味やソーダ味など累計50種類のフレーバーが発売されてきた。
その累計販売数は実に9億食以上。ここ10年ほどの売り上げも堅調で、特にコロナ禍の時期にはイエナカ需要によって販売数量が伸びたという。
子どもの「泥んこ遊び」がヒント
業界きってのロングセラー商品で業績も安定。安心感もさぞ大きいだろうと思いきや、クラシエ フーズカンパニー マーケティング室菓子部係長の木下優さんは「だからこそ危機感を持って、しっかり目を配るようにしている」と話す。
「ロングセラー商品は市場を牽引する立場にありますから、その責任をちゃんと果たしていかなくては。実際、『ねるねるねるね』もずっと順調に来たわけではなく、売り上げが半減した時期もありました。その反省も踏まえて、常に時代に合わせてアップデートしていくよう心がけています」
ここで「ねるねるねるね」の歩みを振り返ってみよう。前身は、1979年に発売された「プカポン」という子ども向けの粉末食品。当時展開していた粉末ジュースの人気にかげりが出始めた時期で、粉末ジュースの技術と菓子の開発技術を組み合わせて、新しい粉末商品がつくれないか、というアイディアから開発された。粉と水をコップに入れて混ぜると、沈んでいたラムネの玉が浮いたり沈んだりするもので、これがのちの知育菓子の走りとなった。
その後、もっと楽しく遊べるように、トレーや器具を使用した粉末商品の開発をスタート。そこで当時の開発者が注目したのが「泥んこ遊び」だった。子どもたちが砂場で楽しそうに泥を練っている姿を見て、混ぜたり練ったりといった動作をお菓子に取り入れたら喜んでもらえるのではと考えたのだ。


