そもそもアカウント自体を持っていない
一部の起業家にとって、SNSは重要なビジネスツールです。しかし、税理士として30年間、多くの超富裕層や経営者と接してきた私の実感として、本当に資産を築いている人ほど、SNSに出てこないという事実があります。
彼らは「SNSが苦手」なのではありません。多くの場合、アカウント自体を持っていない。それは単なる習慣や好みを超えた、情報管理に対する意識の高さの表れです。富裕層の立場になるほど、「何を発信するか」「何を見せるか」という選択そのものが、リスクマネジメントになるからです。
実際、近年の税務調査では、SNSの投稿が調査のきっかけになるケースは決して珍しくありません。Xやインスタグラムで、ポルシェやフェラーリなどを納品した写真とともに「購入しました」という投稿を目にすることがあります。
高級車や高級時計、ラグジュアリーホテル等の投稿だけで、ただちに税務調査につながるわけではありません。ただし実務上は、SNSは「調査のきっかけ」でもあり、申告内容との整合性を確認するための補足資料として参照されるケースが多い印象です。
特に、ローンで高額な時計や車を購入している場合、返済明細や資金の流れから「その支出が事業とどう関係しているのか」を確認されることもあります。私的に購入し、経費計上していなければ原則として問題になることはありませんが、生活実態と申告利益に違和感があれば目をつけられます。
「家族旅行の写真」もチェックされている
家族旅行の様子をアップしている投稿も同様です。
①業務出張として経費計上されている渡航と、SNS上の家族旅行の投稿との整合性 ②事業規模や所得水準に対して、生活水準や高額消費が不自然に見える場合 ③高級品を事業経費として計上している場合 ④私用・業務利用の区別――などは、確認対象になりやすいポイントです。
帳簿上は業務出張となっていても、SNSに家族旅行の写真が掲載されていれば、その整合性を疑われる。写真の日付と経費の記録が一致しているかどうか――。こうした意図しない投稿が、課税リスクを生むことさえあります。つまり、SNSで公開している情報が多いほど、渡航先・交友関係・消費行動と申告内容との照合が容易になり、結果として“説明を求められる材料”を自ら増やしてしまう、というのが実務の実態です。
また、税務調査の対象は1人にとどまりません。近年では夫婦間の預金移動や資金の流れだけでなく、SNS上の家族の投稿内容も参考情報として確認されるケースがあります。たとえば、
・別荘、高級車、高額なジュエリーなどの高額なプレゼント
・配偶者名義で購入した不動産や車についての購入報告投稿
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