本当のお金持ちは、どんなお金の使い方をしているのか。富裕層専門税理士の森田貴子さんは「富裕層の領収書を1000万枚チェックして驚くのは、大きな節税対策にもならないのに美術品や骨董品に多額の支出をしていることだ」という――。
ヨハネス・フェルメール『真珠の耳飾りの少女』(マウリッツハイス美術館所蔵)
ヨハネス・フェルメール『真珠の耳飾りの少女』(マウリッツハイス美術館所蔵)(写真=Txllxt TxllxT/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

お金にシビアなのに、数百万円のアートは買う

ビジネスでは常に判断が求められます。考え得る最善の判断を下すためにも、発想力や思考力を磨く習慣は欠かせません。そこで知識・教養を深め、多様な情報に触れることが重要なのはもちろんなのですが、かといって「頭で考える時間」ばかりになってしまうのも、よくないようなのです。

私は富裕層専門税理士として、30年にわたり富裕層の申告業務や資産管理に関わってきました。チェックした領収書の数は1000万枚に上ります。領収書を見て驚くのは、大半の方がアートにそれなりの支出をしていることです。国内外の美術館にもよく出かけているようですし、ご自分でも頻繁にアートを購入していらっしゃいます。