“不思議なお菓子”から“楽しい知育菓子”へ
“謎めいた不思議なお菓子”から、保護者が安心して購入できる“楽しい知育菓子”へと転換を図ったのだ。パッケージには、色が変わってふくらむのがどんな成分の反応によるものかを記載し、練った結果出来上がる完成品も、それまでのイメージイラストではなく写真で明示した。
だが、こうした転換はリスクと隣り合わせでもある。種明かしをすれば、商品の魅力である不思議さが半減するだけでなく、類似品が登場する可能性も出てくる。
「それでも、仕組みを開示するリスクより、ネガティブイメージを放置するリスクのほうが大きいと判断したのだと思います」
11年、クラシエは味とパッケージデザインを改良した新たな「ねるねるねるね」を発売。CMには発売当初に話題をさらった魔女を再登場させ、当時子どもだった保護者世代にもアピールした。
こうした施策が見事に当たり、売り上げはV字回復を遂げる。数年後には年間販売数量がピーク時の80%にまで回復し、知育菓子市場を牽引する存在に返り咲いた。
このころ、木下さんはまだ入社していなかったそうだが、当時の経緯は大切な資産として今も社内に受け継がれているという。
「仕組みの公開は、結果的に『ねるねるねるね』に新たな価値を付加することにもつながりました。楽しみながら化学反応の基礎に触れ、つくることで創造性や個性を養うことができる。そんな知育菓子としての魅力を、周知する機会になりました」
大人ターゲット、地域限定の商品も投入
22年からは、もう一段の成長を目指して新たな挑戦も開始した。それまで子ども向けや懐かし需要に特化していたところに、ユーザー層の拡大を狙って「大人のねるねるねるね」を投入したのだ。
最初に出したのは、ソムリエ推薦ワインをもとにアロマ成分を配合した「赤白2種の本格ぶどう味」。これがSNSでバズって20〜30代のファン層を獲得し、以降毎年のように新しいフレーバーを出してきた。自分のために購入する大人層は着実に増えているといい、現在は第4弾の「レアチーズケーキ味」が発売中だ。
さらに、同年には地域限定シリーズも展開を開始。沖縄限定のパイン味に続いて北海道限定のミラクルメロン味も発売し、その地域だけで手に入るご当地フレーバー商品として話題になった。
「新しい展開に取り組み始めたのは、少子化に対応するためでもあります。イエナカ需要での売り上げの伸びは、お子様層の需要に支えられていました。その経緯から、今後は大人層や菓子以外のシーンも取り込んでいかないと成長は難しいだろうと考えました」



