「逃げ切り作戦」が奏功

それにしてもある意味見事な解散劇だった。

史上初の女性首相誕生は理屈抜きに大きな意義がある。世襲でもエリート官僚でもない叩き上げの政治家が30年かけて首相の座に上り詰めたこともそうだ。そして、明るく行動的で、はっきりとモノを言うそのキャラクター。マスメディアだけでなく、X(旧ツイッター)などのSNSも巧みに使い70%を超える高支持率を叩き出した。

この熱が冷めないうちに野党の虚を突いて解散・総選挙に持ち込んで一気に多数を取り戻す。何と批判されようと、高市氏にとって選挙で勝って多数を取り戻すにはこの道しかなかった。

そしてこの「先行逃げ切り作戦」は、これまでのところ上手くいっている。

朝日新聞「自維300議席超うかがう」

選挙前から70%を超える高支持率が続き、優勢とみられていた高市自民党だが、1月27日の公示直後には、読売新聞や毎日新聞、日経新聞がそろって「自民単独過半数をうかがう勢い」と序盤戦の情勢を報じた。

いずれも自民党が単独過半数の234議席を大幅に伸ばし、250議席から270議席の勢いを見せていること、野党第一党の新党「中道改革連合」は、伸び悩んで議席を大幅に減らす見通しだ、という内容だ。高市人気も高く、中道が結成からわずか1週間で、知名度も期待度もあまりないことを考えれば序盤戦としては順当と見られていた。

この傾向が続いているのかどうか、政治家だけでなくマスコミや官僚も、その翌週に情勢報道を予定している朝日新聞が、どのような情勢を打ってくるかに関心が集まっていた。そして、選挙中盤戦に入った2月2日の朝刊、朝日新聞は「自民・維新の与党300議席超うかがう」と報じた。

朝日新聞2026年2月2日付朝刊
撮影=プレジデントオンライン編集部
朝日新聞2026年2月2日付朝刊

自民陣営「現場の実感はここまで強くない」

この結果に自民党陣営は勢いづき、野党陣営はがっくりと膝をついた――のも事実だが、それぞれ複雑な反応もあった。

意外なことに自民党の陣営からは、「現場の実感はここまで強くない。現状でリードしても競り合っているところは引き締めないと危ない」とまるで頭を抱えるような声すら聞こえてくる。