序盤の優勢が伝えられた1月29日には、鈴木俊一幹事長名で、楽観を戒める緊急通知が発出されているが、圧勝報道を受けた2日には党幹部が緊急に集まり、なお接戦の小選挙区が多数あることなどから情勢は楽観を許さないとして、各地に引き締めを指示した。

一方、自民党が圧勝となるとそれ以外の政党は厳しい結果が予想される。与党の日本維新の会も含めて、各党とも接戦の選挙区でのテコ入れや比例票の上積みに全力を挙げる方針を確認した。このままでは、また自民党の一人勝ちを許し、他党の存在感は低下する。

それぞれ事情は違うが自民党に対して融和的な態度はとれない。むしろ対抗姿勢を強めることになった。無論のこと、野党第一党として生き残りがかかる中道も、ようやく求心力が高まってきた。だが一番の問題は野田佳彦共同代表が言ったように、高市人気を押し上げている「ネット世論」と向き合う難しさだ。

見えない敵

「見えない敵と戦っているようで気持ち悪い」

立憲民主党から中道改革連合に加わったあるベテラン候補は、選挙戦の手応えとマスコミで報じられる情勢報道のギャップに戸惑っていた。

「公明党の票が選挙区で回って来るかどうか心配していたが、ようやく動きが活発になってきた。地元の連合も従来通りやってくれている。しかしマスコミの調査の数字は厳しい。小泉郵政選挙のような逆風はないが、新党のはずの中道も『既成の古い政党』と見られているように感じる。とにかく古い政治が嫌だという政治不信が女性初の高市首相にした自民党の追い風になっているのではないか」

各社の情勢報道で「横一線、接戦」と報じられているこの候補は、民主党政権を生んだ熱狂的な支持も、民主党政権が大敗した選挙も、いずれも経験している。その経験からしても、いまの高市ブームの正体は掴めないのだと言う。

街頭演説で支持を訴える自民党総裁の高市首相=2026年2月3日午後、埼玉県所沢市
写真提供=共同通信社
街頭演説で支持を訴える自民党総裁の高市首相=2026年2月3日午後、埼玉県所沢市

一方、自民党候補のなかにもこの高市ブームの追い風にとまどいを見せている者も少なくない。前回、初出馬ながら逆風のなかで厳しい選挙を勝ち抜いたある候補は、「確かに高市さんの名前を出すと反応はいいのですが、そんなに勝っている実感はない。

前回熱く応援してくれた公明党支持者が今回は姿を見せないのも気になります。相手候補も必死になっているので、陣営ではみんな気を引き締めて最後まで頑張ろうと話し合っています」と話している。

「サナエの敵」も大量当選

与党300議席の報道は思わぬところにも波紋を広げている。

「あの朝日新聞までが自民党300議席と! でも、そんなに勝ったらサナエの敵のリベラル議員も当選してしまう。どうすればいいんだ!」

「サナエ推し」を称する右派のネットユーザーの間では、こんな投稿が相次いでいる。右派ネット民の間では、落選してほしい自民党候補の1位は石破茂前首相(リベラル狩りの対象)2位、岩屋毅前外相(媚中派の大物)そして3位が村上誠一郎(安倍氏を国賊呼ばわりした国賊)だという。