ところが、これだけ自民党が大勝すれば、石破氏や岩屋氏はもちろんのこと、せっかく四国ブロックの比例順位10番目という、落選確実の順位にした村上氏が当選してしまうではないか、というのだ。確かに、四国ブロックで前回の自民党の獲得議席は3議席。小選挙区に重複立候補している10人のうち8人が当選すれば、比例名簿から削除されるので、残り2人が繰り上げ当選し、3番目の議席が村上氏に回って来る。

村上誠一郎総務大臣(2021年9月12日撮影)
村上誠一郎総務大臣(2021年9月12日撮影)(写真=総務省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

3人のようなリベラル派や親中派、もっとありていに言えば「反高市派」を一掃したいと頑張ってきた右派ネット民からすれば、自民党大勝となるとこうした反高市の議員たちが続々と当選するという皮肉な結果になるわけだ。

選挙戦に入ってからは、反高市の自民党員たちは批判を避けていたが、大勝して国会に戻って来れば、今度はむしろ遠慮なく高市批判を展開し、足を引っ張るに違いない。「こんなはずじゃなかった」と頭を抱えるのは高市氏自身になるかもしれない。

それは笑い話で終わるかもしれないが、実は、自民党が圧勝すると高市首相にとっても手放しでは喜べない、難しい問題が山積しているのも事実だ。

選挙後の難題――消費税減税と円安

「高市早苗が首相で良いのか国民に選んでほしい」

前代未聞の高市早苗がいいかどうか選挙である。与党が圧勝すれば、晴れて高市氏は信任されたことになる。その結果が300議席超えということなら、絶対安定多数となって、国会運営も楽になるはずだ。まさに高市首相は国民から白紙委任状をもらったのと同じだからだ。

しかし、それだけの力を持つということは、結果に対する責任も同じ程度に重くなる。公約した政策は必ず実行しなければならない。それができなければ、たちまち期待は失われ世論の支持も地に落ちる。そう考えると、仮に与党300議席を超えるような大勝になると、逆に高市首相の頭を悩ますことになる問題が現れそうだ。その一つが消費税の減税問題だ。

「内閣総理大臣としての希望は、できたら今年度(2026年)内を目指したい」

公示前日、日本記者クラブの主催で開かれた党首討論会で、高市首相は、そう明言した。「詳細は選挙後に開く国民会議で議論する」として自民党の公約通り検討を加速するという表現にとどめたが、選挙で仮に大勝できれば、首相としての希望が通ることになる。

勝ちすぎで言い訳できない状況に

しかし自民党内だけでなく、政府内部でも26年度中の実現は難しいという見方が大勢だ。討論会で国民民主党の玉木雄一郎代表は「年度内に減税するなら、予算案について閣議決定をやり直すのが筋だ」と述べた。

高市氏は討論の席上、玉木氏に与党に来てほしいと「公開プロポーズ」までして見せたが、選挙の結果、国民民主党が議席を伸ばせなければ、その後は高市政権と距離を置くかもしれない。いずれにしても、与党の思い通りに減税できるかどうかは不透明なままだ。