選挙中の「円安ホクホク」発言もあって、円安が進行し市場の厳しい反応も指摘されている。海外のメディアからは、通貨安、債券安、株安のトリプル安で退陣したイギリスのトラス元首相のケースを引き合いに出して批判する論調も出始めている。多数を取ったから消費税減税や円安誘導ができるとはならないのが財政政策の難しいところだ。
それだけではない。日中関係の改善も遠のくかもしれない。
「台湾で大変なことが起きたとき、私たちは日本人や米国人を救いに行かなきゃいけない。共同行動を取っている米軍が攻撃を受けたとき、日本が何もせずに逃げ帰れば、日米同盟はつぶれる」
高市氏は選挙中にも、台湾有事をめぐって、更に踏み込んだ発言を繰り返した。自らの国会答弁で悪化した日中関係だが、中国に対する反感が支持率を押し上げている事情もあって、高市氏は対中強硬姿勢を崩そうとしない。
選挙はうまく逃げきれても…
しかし、中国産レアアース(希土類)の対日輸出規制のさらなる強化
選挙で多数を得れば、大胆な妥協はますますできなくなるだろう。アメリカのトランプ大統領の中国への向き合い方が不透明ななかで、日米同盟重視だけでこの問題に対処していけるのか。これも扱いを間違えると、政権に深い傷をつけかねない。
財政にしても、日中関係にしても、選挙で大勝したからといって、問題が解決するわけでも、なくなるわけでもない。むしろ、多数を握ることで「少数与党だから何もできなかった」という言い訳が通用しなくなる。本当の意味で多数の力には、同じだけの責任が伴うからだ。
選挙は水物だと言われる。ちょっとしたきっかけで情勢が大きく変わり思わぬ選挙結果になったこともある。1998年の参院選も、自民党の勝利を予測する報道が出た5日後に自民党が大敗し、当時の橋本龍太郎首相は退陣に追い込まれている。
選挙戦中の2月1日、NHK日曜討論の党首討論をドタキャンしたことやその前日の「円安ホクホク発言」に批判や疑問の声が相次ぎ、ネット世論にも微妙な変化が出てきた。
先行逃げ切りで選挙を急ぎ、「逃げるは恥だが役に立つ」を実践してきた高市氏だが、仮にうまく逃げ切れたとしても、そのゴールの先には、一筋縄ではいかない難しい現実が待っているのかもしれない。


