「赤星」の通称でも知られている「サッポロラガービール」が現在好調に売り上げを伸ばしている。生ビール全盛ともいえるこの時代、テレビCMも流さずに、なぜ販売を伸ばすことができたのか。サッポロビールのブランド担当者に聞いた――。
サッポロラガービール・ブランドマネージャーの桑村美里さん(左)とサッポロビール・外食統括部の内藤誠俊さん(右)
撮影=プレジデントオンライン編集部

赤星を土俵際に追い込んだ〈辛口・生〉

「ビールといえば生」そういう印象を持っている人は多いだろう。そんな生ビールのなかでも圧倒的な人気を誇っているのが昭和62(1987)年にアサヒビールから発売された「アサヒスーパードライ」だ。スーパードライは後にバブル景気とも呼ばれる好景気を追い風に登場直後から人気を集め、やがて国内ビール販売の頂点に上り詰めた。

スーパードライの躍進によってビールには「辛口・生」というイメージが定着することになり、飲食店でもドライ系生ビールが選ばれるようになったが、これで大打撃を受けたのが赤星をはじめとする瓶ビールだ。

現在は国内ビール総販売数の大半を生ビールが占める状態になっている。そんな“生ビール全盛時代”において、しばらく忍従を強いられた熱処理ビールの赤星が、ここにきて驚異的な躍進を見せている。

サッポロラガービール 中びん
写真提供=サッポロビール

瓶ビール市場を牽引する「赤星」

居酒屋で飲むビールはサーバーから注がれる「生」が定番だが、実は瓶で提供されるビールの人気にも根強いものがある。

これには日本独特の“お酌文化”が影響しているとの見方もあるものの、肝心のビールがおいしくなくては人気が続かないのも事実。そこで強みを発揮しているのが、150年に迫る歴史を持つ瓶ビールの赤星なのだ。

開拓使麦酒醸造所開業式。1876年9月23日(北海道大学所蔵写真)
開拓使麦酒醸造所開業式。1876年9月23日(北海道大学所蔵写真)

実際に赤星の勢いはすさまじく、コロナ禍で前年度からの落ち込みを見せた2020年を境に大幅な販売回復を見せ、2019年の数量を100%とした場合に、2024年にはなんと210%に達する躍進ぶり。赤星を取り扱う飲食店もこの10年で推計約2倍になった。

実は瓶ビール全体の総販売量はこの5年でほぼ変化がない。つまり、赤星が瓶ビール市場を牽引しているということ。これまで味やラベルデザインのリニューアル、そして大々的なプロモーションをほぼ実施していなかった商品でのこれほど急激な伸びはとにかく異例なことである。

もちろん、販売元のサッポロビールが何もしなかったわけではなく、赤星を告知して業績を拡大するための地道な施策はコロナ禍以前から行っていて、ここからさらなる攻勢をかける姿勢も見せている。