花粉症の症状を軽くするために、今からできることは何か。大手外資系企業を中心に年間1000件以上の面談を行っている産業医の武神健之さんは「花粉症による不調を招くルートは2つある。まずはその構造を理解することが正しい対策につながる」という――。
杉の花粉
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

花粉症は生産性を下げる

こんにちは。産業医の武神です。春になると産業医面談中の雑談で増えるトピックがあります。それは花粉症です。国民病とも言われている花粉症ですが、多くの人が仕方ないとそのまま受け入れている印象があります。しかし、花粉症は、科学的にも証明された“労働生産性を低下させる”疾患です。

【Close-up:「このつらい花粉症」からの卒業】はこちら
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私のクライエント企業の多くはタフでハードな職場です。その中で、身体に慢性的な炎症や睡眠障害が加わるのは、明らかにパフォーマンスリスクといえます。

そこで今月は、外資系産業医の私が、花粉症をどう戦略的に管理すべきかを、社員からよく聞かれる3つの質問と共に共有させていただきます。あなたの花粉症対策のお役に立てば光栄です。

まず、花粉症を正確に把握しましょう。

現在、日本人の約42.5%が花粉症を患っていると言われています(環境省、2022)が、都市部のオフィスワーカーに限定すれば、その割合はさらに高いという実感があります。私は、クライアント企業の衛生委員会で花粉症の話をするときは、参加メンバーの中で花粉症の人の割合を確認していますが、概ね50%は花粉症です。

仕事に悪影響を及ぼす2つのルート

残念なことに、資料によれば、2026年の花粉飛散量は例年に比べて多い地域が目立ちます。本州におけるスギ・ヒノキ花粉のピークは2月下旬から4月上旬で、今がまさにピークシーズンです。しっかりした対処が必要な時期と言えます。

海外の論文によると、花粉症による欠勤(アブセンティーズム)は3.6%、出勤はしているものの症状によってパフォーマンスが低下している状態による生産性低下(プレゼンティーズム)は35.9%に達するそうです。私の実感としては、花粉症による欠勤はゼロですが、プレゼンティーズムはこのデータに同感です。企業にとっては、それなりの損失になっていることは否定できないと感じます。

花粉症の人は、シーズン中は調子が悪いという自覚がある人が多いです。しかし、その理由を正しく理解している人はあまりいません。実は、花粉症が仕事に悪影響を及ぼしているルートは2つあります。この構造を理解することが、正しい対策の第一歩です。