③「在宅勤務としてもらえませんか?」
「花粉症がひどいので、シーズン中は休ませてください」という相談は、私は受けたことはありません。「花粉症シーズンは在宅勤務としてもらえませんか?」という相談は、コロナ禍が終わり、在宅勤務から出社勤務になる流れの時に数社で数件ありました。
花粉症による欠勤や在宅勤務に対する私の考えは、標準的治療や予防を過不足なく行っているのに、悪化し続けるほどの症状があるのであればやむを得ないと思います。しかし、今まで、このような質問をしてくる人で、すべての対処法をしている人に会ったことはないというのが実情です。ですので、花粉症のための休職や在宅勤務を産業医としてコメントしたことはありません。
マスクとゴーグルは使ったほうがいい
そして、花粉症対策は薬だけではありません。
花粉を体内に入れないという、物理的な遮断を徹底することは思っている以上に効果があります。これは、ウイルス対策と同じ曝露管理です。
もっとも手っ取り早いのは、マスクの装着です。マスクを適切に装着することで鼻への花粉の暴露量は、通常のマスクで約1/3、高性能なマスク(N95マスク等)では約1/6まで減少させることができます。通常の不織布マスクでも効果はありますが、インナーマスクを利用すれば除去率は上がります。ぜひ、お試しください。
目の症状が強い人におすすめなのは、ゴーグルの使用です。「見た目が気になる」と、使用に抵抗感を示す人が多い印象を持っていますが、その威力は想像以上です。メガネを着用しない場合に比べ、防御カバー付きの花粉症用メガネは、目に入る花粉量を約65%も減少させます。「コンタクトがゴロゴロする」という不快感は、それ自体が集中力を削ぐストレス要因です。この時期だけはメガネ、あるいは花粉ガード付きのゴーグルの使用をお勧めします。
帰宅後すぐの洗顔で夜間のアレルギー反応を防ぐ
衣類、特に花粉の付着が多いアウターも対策できることがあります。ウール製よりも綿や化学繊維(ナイロン、ポリエステル)製の方が、花粉の付着が少なく、また、叩くことで容易に花粉が落ちます。結果、家の中に持ち込む花粉量が減らせます。
また、帰宅後すぐの洗顔は、顔に付着している花粉を洗い流してくれるため、夜間のアレルギー反応を防ぐ効果があります。
ちなみに、以上はいずれも花粉症に対する対症療法(症状を抑える治療)です。根本的な治療では、減感作療法として現在は、スギ花粉の舌下免疫療法が、保険診療で受けられます。治療期間3~5年で約8割の人に効果が期待できるとされていますが、これをどう捉えるは意見が分かれるところです。
以上、私がクライアントで伝えている花粉症対策についてお伝えさせていただきました。
花粉症は体質ではありますが、管理可能な疾患でもあります。しっかり対処することで、皆様がこの春も健やかに働けることを願っています。
※参考文献
・Vandenplas O, et al. Impact of rhinitis on work productivity: A systematic review. J Allergy Clin Immunol Pract. 2018


