健康を維持するためには何が必要なのか。医師の満尾正さんは「ビタミンD、マグネシウム、亜鉛は免疫力にも関係する重要な栄養素だが、多くの日本人に不足している。これらが不足すると骨粗しょう症や筋力低下、男性機能の低下、心疾患、不眠などにつながる」という――。

不調の原因は「栄養不足」かもしれない

「足がつる、肩こりがひどい、男性機能が弱っている、イライラするといった心身の不調は、3つの栄養素が不足していることに原因があるかもしれません」

こう指摘するのは、満尾クリニックの院長・満尾正氏だ。

満尾正院長
満尾正氏(満尾クリニックHPより)

3つの栄養素とは、日本人に不足しているといわれている「ビタミンD」「マグネシウム」「亜鉛」だという。

「健康状態が良く見える人でも、この3つの栄養素が維持されていることはほぼまれです。健康診断で即時に病気につながることがないため、これらの数値は測定されない。その結果、栄養素不足に陥っていてもなかなか気づきにくいのです」

ビタミン群の「ビタミンD」、ミネラルの「マグネシウム」と「亜鉛」は毎日外部から摂取しなければならない必須栄養素だ。

【図表1】「3つの栄養素」の1日当たり摂取推奨量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より編集部作成

骨を作るために欠かせないビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨を作るために欠かせない栄養素ということは一般的に知られている。それ以外にも、免疫力の増強、うつ病など精神疾患の予防、筋力低下の予防、アンチエイジング効果などの働きがある。

亜鉛は、性ホルモンの分泌・維持だけでなく、骨や皮膚、肝臓、腎臓、インスリンを作るすい臓、精子を作っている睾丸など、新しい細胞がつくられる組織や器官では必須のミネラルになる。

マグネシウムは、エネルギーの産生や貯蔵のほか、カルシウムと拮抗して筋収縮を制御したり、血管を拡張させて血圧を下げたり、血小板の凝集を抑え血栓を作りにくくしたりする作用がある。

「3つの栄養素に共通の働きは、免疫力を高める効果があることです。感染症対策として注目されている栄養素ですが、普段の食事で意識されることはほぼありません。健康診断で測定されないので、不足しているかどうか気づきにくいと先ほど言いましたが、不足しているかどうか判断する手がかりはあります」