人生の分岐点となる定年退職。この先の人生をどうするか、どう働くかを考えると、「お金」も重要課題となる。退職金や給付金・年金は、どのようにもらったらよいか。シニアマネー相談の第一人者・板倉京さんに聞く。
老夫婦のイラスト
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定年後もバリバリ働いて稼げる環境に

年金制度や働く環境は徐々に変わってきています。体力も気力もある人は、定年後もバリバリ働いたほうが結果的に手取りは増えますし、将来の年金も増えます。これまでは働きすぎて、給与と年金の合計が51万円を超えると年金がカットされてしまっていましたが、2026年4月からは上限が65万円まで引き上げられるので、積極的に働きやすくなりました。

年金を受け取る際に注意しなければならないのが、社会保険料です。年金によって所得が増えると、翌年の国民健康保険料や介護保険料、そして住民税も増えます。

年収の多い高齢者に対して、世の中はどんどん厳しくなっています。たとえば医療費の自己負担は70歳以上が2割、75歳以上は1割ですが、年収が高くなると現役世代と同じ3割になります。基準は市区町村で違うことがありますので確認が必要です。

「知らない人が損する」給付金・年金の仕組み

パートやアルバイトで働く際に気になるのが「週20時間の壁」です。法律が変わり週20時間以上働くと、社会保険加入の対象になるケースが増えています。会社員として働くなら、会社が半分負担してくれる社会保険はメリットも大きいのですが、手取りを減らしたくないと考える人もいるでしょう。負担を軽くする裏技として、「マイクロ法人」をつくる方法があります。

自分で会社を設立し、その会社から自分自身に、たとえば月額5万円程度の低い役員報酬を支払います。マイクロ法人で社会保険に加入すると、月額5万円の報酬の場合、社会保険料は月2万〜3万円程度で済みます。同時に個人事業主としてバリバリ稼いでいても、そちらの収入には社会保険料はかかりません。

マイクロ法人で社会保険に入りつつ、個人事業でしっかり稼ぐことで、トータルの保険料負担を安く抑えることができます。問題はマイクロ法人と個人事業の収入をどう分けるか。明確なルールがないと、税務署に否認される可能性があります。

税金や年金、社会保険、そして失業手当などの制度は非常に複雑で、残念ながら「知らない人が損をする」仕組みになっています。

ただ、最近は税務署や年金事務所、ハローワークなどでも親切に教えてくれるようになっています。大切なのは「私の場合はどうなりますか?」と、自分から聞くことです。役所や専門家にどんどん相談に行ってください。制度を賢く利用して、損をしない定年後を過ごしましょう。

退職日「1日違い」で退職金の手取りは激変

定年前後には、さまざまな選択を迫られます。そのとき、どう決断するかで100万円単位の差が生じる可能性もあります。ポイントを押さえて、損をしないようにしてください。

まず、退職金。退職金は、多くのビジネスパーソンにとって、一度にもらえる額としては人生最大の収入と言えます。少しでも手取りが増えるようにしたいものです。