否応なしに給料から天引きされていく社会保険料や税金――その一部を会社員が“合法的に”取り戻す、限られた手段のひとつが「医療費控除」だ。実は意外と活用されていないこの制度。まだ申告したことがないという人は、ぜひ本記事を参考にしてほしい。

病院のレシートで数万円が戻ってくる

「実は医療費控除を申告したことがない」――そんな初心者のために、まずは簡単にルールをおさらいしておこう。医療費控除とは、1年間に支払った医療費の合計が原則10万円を超えた場合、その超過分を所得から差し引くことができる制度だ。これにより、所得税と住民税の負担を軽減できる。課税所得が600万円の人が10万円分の医療費控除を受けた場合、所得税+住民税で3万円安くなる計算だ。

【図表】医療費が年間20万円かかった場合の減税額の目安

それほどメリットが大きい制度でありながら、十分に活用されているとは言いがたい――と話すのは、登録者140万人超えのYouTubeチャンネル「脱・税理士スガワラくん」を運営する菅原由一氏。菅原氏が以前実施したアンケート調査によると、6割近くの人が医療費控除を申告する予定がないこと、さらにその3割が「医療費控除に対する正しい知識がほぼゼロ」であることが判明したという。

「特に大きな誤解は、病院で保険適用される治療でないと控除の対象にならないと思っていること。また、自分一人だけでなく、家族の医療費を合算できるということも意外と知られていません。そのため、控除の条件となる“10万円超え”をクリアできないと思い込み、申告しない人が多いのです」(菅原氏、以下同)