米国とイスラエルによるイラン攻撃によって、日本経済にも影響が出ている。政治ジャーナリストの清水克彦さんは「トランプ大統領は3月19日に予定される日米首脳会談で、高市首相にアメリカの軍事作戦への支持と協力も要求しかねない。高市首相にとって外交手腕を試される機会になるだろう」という――。
壁面にアメリカ、イスラエル、イランの旗のイラストが描かれている
写真=iStock.com/Ruma Aktar
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イラク戦争と同じ理由でイランを攻撃

2月28日に始まったイスラエルとアメリカによるイランへの攻撃。アメリカのトランプ大統領(以降、敬称略)は、3月2日、「IRGC(イランの精鋭部隊、イスラム革命防衛隊)の施設と防空システムを含む数百の標的を攻撃した」と述べ、軍事作戦は「すべての目標が達成されるまで続く」と強調した。

今回の攻撃は、2025年6月、イランの核施設を攻撃した「12日戦争」とは規模が違う。イラン31州のうち24州に及んでいる。

トランプは大規模な軍事攻撃に踏み切った理由について、イランによる「差し迫った脅威」を挙げたが、これは、2003年、当時のブッシュ大統領が、サダム・フセイン大統領率いるイラクを「大量破壊兵器を隠し持っている」との理由で攻撃したのと同じだ。

国連憲章では、例外的に、武力攻撃を受けた場合の自衛権行使を認めているものの、「差し迫った脅威」が本当に存在したのか、トランプは明示できていない。

エプスタイン事件で窮地に立つトランプ

ただ、トランプの狙いははっきりしている。ワシントンDCのメディアおよびシンクタンク関係者とやりとりした内容をまとめると以下のようになる。

・核開発計画の完全な放棄=新たな合意を模索する交渉では前に進まない
・イランの体制転換=ハメネイ師を殺害しない限り、協調できる体制はできない
・イラン支持勢力の一掃=イランが健在だと、ハマスやヒズボラなどの戦力を削げない
・イラン海軍の壊滅=海軍を叩かなければ、ペルシャ湾の安定化は難しい
・大陸間弾道ミサイル開発の阻止=アメリカ本土攻撃のリスクを無くしたい

イランでは、今年1月、アメリカの経済制裁などによる通貨安やインフレを受け、民衆が怒りのデモを行い、数千人とも言われる死者を出したばかりだ。

今回の攻撃で殺害された最高指導者、ハメネイ師を中心とする指導部への不満は根強く、トランプからすれば、体制にほころびが生じている今こそ、「一気に潰せるチャンス」と判断したに相違ない。

加えて、アメリカ国内では、過度な移民排除、エプスタイン事件、高関税による物価高などによって、トランプへの支持率は下がる一方だ。「何とかしなければ、11月の中間選挙で共和党は負け、自分の残りの任期はレームダックになる」という危機感もあったのだろう。