「国際法違反」の先例にほくそ笑む習近平
高市首相は3月、カナダのカーニー首相を皮切りに、次のサミット開催国で、事もあろうに習近平を招待する案も示しているフランスのマクロン大統領とも会談する予定だ。
一連の首脳会談で、対中国だけでなく、中東地域の安定に向け、各国と認識のすり合わせができるかどうか、そして、外交にとってホルムズ海峡の封鎖を解除させられるかどうか、試練の外交月間となるのは間違いない。
対する習近平は、トランプが「国際法違反」とも言える行動をとればとるほど、ほくそ笑んでいるはずだ。
中国の景気は相変わらず低調だが、自分の意に沿わない中央軍事委員会の幹部や閣僚は全て粛清し、台湾統一への地ならしを進めている。
来たる2027年は、自身の中国共産党総書記として4選がかかる年で、人民解放軍(中国軍)創設100年の節目の年でもある。さらに言えば、台湾で2028年1月の次期総統選挙に向け、候補者が出そろい選挙戦が本格化するのも2027年だ。
そのような「Xイヤー」を前に、アメリカが確たる根拠もないままイランを攻撃したことは、中国からすれば、「差し迫った脅威があったので台湾を攻めた」という言い逃れを可能にしてしまったことになる。
「迷走台風」「巨大ハリケーン」への対処法
高市首相も、日本国民も、気象で言えば「迷走台風」のように動きがコロコロ変わるトランプとあと3年近く付き合わなければならない。筆者はふと、こんな言葉を思い出した。
「変えることのできないものを受けいれる冷静さを、変えることのできるものを変える勇気を、そして両者の違いを見分ける知恵を、私たちにお与えください」
とは、「20世紀で最も影響があるアメリカの神学者」と呼ばれたラインホルド・ニーバーの言葉である。
トランプという「迷走台風」、それが引き起こしたイラン攻撃と石油やLNGの価格高騰の危機、さらに言えば、その厄介な「迷走台風」が、日本の近くに位置する中国の「巨大ハリケーン」と日本の頭越しに取引(ディール)しかねないリスク……。
これらの不都合な真実の中には、日本だけでは「変えられないもの」と、努力すれば「変えられるもの」が混在する。
高市首相が、どんな冷静さと勇気を持って、まだまだ未知数の外交手腕を発揮するのか、筆者はそこに注目したい。

