※本稿は、中島恵『中国人は日本で何をしているのか』(日経BP)の一部を再編集したものです。
都内の生保営業所で中国語が飛び交うワケ
生保で働く中国人について私が取材を進めているとき、偶然にも、ある出版社の編集者からこの件に関連するメールが届いた。
「広告で取引のある生保会社の担当者から聞いたのですが、その会社の都内某営業所では、中国人社員があまりにも多くて、所内で中国語が飛び交っていたため、中国語での会話が禁止になったそうなんです。中島さんは、こんな話、聞いたことありますか?」
びっくりして紹介を頼むと、先方の日本人担当者は匿名を条件に取材に応じてくれた。生保会社は主に本社などに勤務する内勤職と、保険商品を販売する営業職に分かれる。営業職の多くは女性で以前は「生保レディ」と呼ばれた。
取材をした担当者は本社勤務の内勤職だ。2010年代に数年間だけ都内の営業所に配属された。そのときの様子を次のように語る。
「当時、在籍していた営業部は全部で40数人。そのうち中国人は1~2割でした。私がいた10年くらい前から中国人が増え始めたという印象です。現在その営業部の規模は拡大しており、中国人も以前より多いと聞いています。
中国人同士が母国語で話すのは自然なことですが、日本人からすれば何を話しているのか不安になることもあって禁止になったようです。ただし中国人社員に悪い印象があるわけではなく、日本企業なので、社内では日本語で話しましょう、ということです」
日本人社員との「決定的な違い」
この担当者がいた営業所の中国人は仕事熱心で、営業職の採用活動にも積極的だった。
「中国人がいる営業所は、その人が声を掛けて勧誘するので、自然と中国人が増えていきます。逆に、中国人が一人もいない営業所に、中国人が突然入社してくることはあまりありません。そういうわけで、私がいた営業所は中国人の人数が多いほうでした。
日本人の営業社員には、最低限の仕事だけこなして、なんとなく会社に居座る人がいます。でも、『なんとなくいる』という中国人はあまり見かけません。ハングリー精神が旺盛で、アグレッシブ。私が知る範囲では、30~40代(の女性)が中心で、日本人男性と結婚している人が多かった。子育てが一段落したので働きたい、という人もいました」
その営業所では、中国人が全体の職場の雰囲気を盛り上げているということだった。

