当初はイジメられたこともあったが…

私は別の生保の営業所に勤務する日本人にも話を聞くことができた。

「中国人が増えて営業成績がアップすると、日本人の部長は『自分の給料も上がった』と喜んでいました。気をよくした部長は積極的に中国人社員の席を回って声を掛けていましたね。

彼女たちのためにパソコンの翻訳機能を使って、保険商品の資料を中国語で作成してあげていたほどです。営業所には、中国人が多すぎることを快く思わない日本人もいることはいます。ですが、業界全体が人手不足なので、全体としては、中国人の営業社員が増えることについてウェルカムな雰囲気だと思います」

大手生保に勤務する黄さんも「私が勤め始めた当初は日本人の事務員にいじめられたこともありましたが、中国人が増えて実績を出すにしたがって、自然となくなりました。今では皆、仲良しです」という。さらに、こんなエピソードもうれしそうに披露してくれた。

「中国人が多いので、忘年会は中華料理店でやりましょうという話になり、私がお店を選びました。会の翌日、これまで一度も話したことがなかった日本人の同僚から『黄さん、昨日のお店、私がこれまで食べた中華料理の中で一番おいしかった。いいお店を紹介してくれてありがとう』と喜ばれて、私もうれしかったし、営業所の雰囲気がとてもよくなりました」

中華料理
写真=iStock.com/GI15702993
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このように話を聞いていくと、私を含め、業界と関係ない日本人が知らないうちに、生保業界で中国人の存在感は高まっているようだ。

なぜ働き先として「生保業界」が選ばれるのか

なぜ、生保業界で中国人が増えているのか。(営業職の)彼女たちに聞くと、最大の理由は学歴不問、経験不問で、入社のハードルが非常に低いことにあり、「日本人と同じく、面接や簡単な試験のみで採用される」からだそうだ。外国人でも日本語力はそれほど問われない。ある人によれば「日常会話ができればOK」だという。

一方、別のある中国人は「会社によって日本語能力試験(JLPT)のN1(幅広い場面で使われる日本語を理解できるレベル)を求められるなど選考基準が厳しくなっています。

数年前は日本語があまり堪能でなくても入社できた人もいましたが、最近は変わってきました」と語る。

次に、基本給の保障があることだ。会社によって制度は異なるが、入社後の1~2年間は保障される。研修期間中も支払われるため、「アルバイトよりも割がいい」「保険の勉強が無料でできて、会社を辞めても役に立つ」と考えるという。以前は基本給の保障期間が終わったらすぐに辞めて、他社に移る人が日本人も含めてかなりいたそうだが、現在ではルールが厳しくなり、同業他社への転職は難しくなっている。