会社や部下が管理職に求めることを理解しないまま、役職だけが上がってしまった管理職は少なくない。人事・経営のコンサルティングを手がける林宏昌さんは「部長以上のポストにあるにもかかわらず、課長と同じような仕事をしている人たちを『大課長』と呼ぶ。彼らの旧来の価値観では、現代の組織経営はできない」という――。

※本稿は、林 宏昌『上司はリスクばかりを指摘する 会社を潰す「大課長」問題』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

夜にオフィスで働いている間に休憩を取る若いビジネスマン
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「大課長」は求められる仕事をしない

20年ほど前のことでしょうか。中途採用の面接で「あなたは、わが社に来たら何ができますか」と問われた求職者が、「部長ならできます」と答えたという話がありました。年功序列の中で日々の業務に取り組み、部長を担っていることがステータスとして捉えられた時代のエピソードです。今の中途採用の面接で同じように回答しても、「それで、何ができるんですか?」ともう一度同じ質問をされてしまいますし、印象としてはネガティブです。

これは本来、自分が会社にもたらすことができる成果をアピールすべき場面です。そこを肩書で語ってしまう時点で、ビジネスパーソンとして何ができるか、何ができるようにならないといけないかが、わからないまま部長になった方だろう……ということが察せられてしまうわけです。部長という肩書ではなく、そのポストで何をしてきたのか、どのような成果を上げたのか、どのようなスキルを持っているのかを具体的に伝える必要があります。

では、そもそも「部長」とは何をする役割なのでしょうか。

本書では、課長よりも上のポストにあるにもかかわらず、課長と同じような仕事をしている人たちのことを「大課長」と呼んでいます。なぜそれが問題なのかを理解するためには、課長と部長、本部長などの役割を知り、それぞれに求められる業務の違いを理解する必要があります。

管理職とは何か、課長と部長の違いは何か

まず初めに、管理職とは一体何なのかを確認しておきましょう。

これまで多くの日本企業では、高校や大学を出たばかりの新卒者を採用し、会社員としてのスタートを切らせてきました。ここからしばらく、彼らは役職のない「一般社員」という扱いになります。その後は勤続年数を重ねながら「主任」になり、次は「係長」になり、さらに「課長」になり……といった順に昇進するのが、会社員の平均的な出世コースでした。

この序列の中でいうと、一般的に管理職とされるのは、課長から上の役職者たちです。その呼称や詳細な職掌は会社によって異なりますが、本書では「役員・経営層」「部長・本部長(この二者は必要に応じて使い分けます)」と「課長」、そして「係長」以下の社員という、4つのカテゴリに大別して論じていきます。本部長は事業部長と呼ばれたりしますが、本書では複数の部長の上の役職として扱います。中間管理職という意味では、「部長・本部長」も「課長」も同じですが、そこには大きな役割の違いがあります。