※本稿は、林 宏昌『上司はリスクばかりを指摘する 会社を潰す「大課長」問題』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
管理職は経営層と一般社員をつなぐ存在
目先の仕事ばかりに目が行ってしまい、長期的なビジョンを描くことのできない部長以上の管理職が増えています。課長以下のマインドのまま役職だけが上がってしまった人たちのことを、本書では「大課長」と定義しています。ここでは「大課長」の存在によって、企業にどんな問題が生じるのかを掘り下げます。
経営層と一般社員は実務的な関わりが薄く、意思疎通を図ることがやや難しい間柄だと言えるでしょう。その二者をつなぐことは、本来、部長や本部長に求められる大切な役割の一つです。例えば、現場で発案された新たなプロジェクトを動かすために、経営層に訴えて必要な予算や人材などの経営資源を確保すること。あるいは、経営層の求める改革案を嚙み砕いて具体化し、一般社員がなすべきことを示すこと。しかし「大課長」はそうした役割を果たしません。
「経営層はわかっていない」という不満
自分も現場に下りてきてしまっている「大課長」の場合は、経営層に対しても、短期的な課題ばかりを訴えている可能性があります。「現場はこんなに大変なんだから、これ以上は無理」「部下の負担がこれ以上増えて苦しまないように、俺が守ってやる」と、一見部下に寄り添う心強い上司のように振る舞いますが、現場社員の声を代弁するだけがリーダーの仕事ではありません。経営層の意図を汲み取り、「これを新たにやるなら、代わりに既存のこれをやめる」など、落としどころを探っていくことも大きな役割です。また、経営層に自分がどう見られるかを考えてイエスマンに徹し、実現性の低い提案をそのまま下におろしてくる「大課長」もいます。
こうした会社では、経営層と現場の分断が深刻になります。現場の社員にとっては、求めている具体的な変化はもたらされず、やたらと大きなビジョンだけが下りてくるように感じられるでしょう。「部長・本部長が経営層の指示を安請け合いしてきて、現場の仕事は増えるばかり、減る仕事は一つもない」という声も出てきます。業務環境は改善されないのに、思いつきで新しい仕事がオンされるような状況では、経営層の言うことを「現実がわかっていない」「お花畑だ」などと冷ややかに受け止めるようになります。

