管理職とは何をすべきか、今後の自分の仕事を理解しないまま昇進してしまう人は少なくない。人事・経営のコンサルティングを手がける林宏昌さんは「部長以上のポストにあるにもかかわらず、課長と同じような仕事をしている人たちを『大課長』と呼ぶ。この問題を解決するには、当人と会社の双方が変わらなければならない」という――。

※本稿は、林宏昌『上司はリスクばかりを指摘する 会社を潰す「大課長」問題』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

ノートパソコンで作業する2人のビジネスマン
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管理職の役割定義を具体的に

部長以上のポストにあるにもかかわらず、課長と同じような仕事をしている「大課長」が増える根本的な理由は、管理職が自分の仕事を理解していないことにあります。この点を指摘すると、彼らは一様に「そんなことは誰も教えてくれなかった」と言います。部下の社員に聞いてみても「(部長・本部長は)いろいろな会議に出て調整してくれています」という認識で、それが主な仕事だと考えているようです。まずはこの曖昧すぎる役割定義を明確にし、個人レベルで知ってもらう必要があるでしょう。本来の「課長がやるべき仕事」と「部長がやるべき仕事」を課長と部長の双方が理解していないと、現在地と理想の埋めるべきギャップがわからず、前に進めません。

この役割定義で大切なのは、抽象的で曖昧な表現ではなく、具体的な表現で整理し明文化することです。その際には、「やるべきこと」だけではなく「そのポジションでやってはいけないこと」も記載して、各々にしっかり理解してもらうことも重要です。そうすれば、現場から離れない「大課長」や、判断を上に丸投げする「大課長」も減らせるはずです。

「自分はだいたいできています」

おそらく多くの会社で、おおよその役割定義を設け、資料も作ってはいるでしょう。しかしそれが抽象的すぎるために、誰も参照していないことも少なくありません。

抽象的であることの弊害はもう一つあります。実際に規約などに記載されている役割を部長や本部長の方に見てもらい「できていますか?」と尋ねると、「はい、だいたいできています」という回答をいただきます。

一方で、担うべき業務を具体的に列挙し、さらにやってはいけないことまで整理してみてもらうと、「あ、この『やってはいけない』という行動をしてしまっています」とか、「ここまで現実的な例を示されると、自分ができていることと、できていないことが明確になりますね」などのコメントをいただくようになります。曖昧な表現の役割定義では個人によって理解の仕方が異なり、「これぐらいできていればいいだろう」という自己評価になりがちなのです。以下のような具体的な例で設定することをお勧めします。

○戦略を粘り強く何度も共有し、現場の若手に聞いても部門戦略が何かを語れる状態を作っている。
×戦略を一度伝えただけで伝わったと思い、戦略の浸透が進まず、なぜみんな戦略を理解できないのか疑問に思っている。