会社と自宅を最短ルートで往復する「効率的な毎日」が、ビジネスパーソンの年収の天井を決めている。富裕層マーケティングを長く手掛ける西田理一郎さんは「資産1億円超の経営者は、年に数日、目的地も決めずに街を歩く時間に100万円単位を投じている」と指摘する。富裕層はなぜ、最も非効率な時間にこそカネを払うのか。ビル・ゲイツが森のキャビンで書き上げた「数兆円のメモ」を手がかりに、その構造と、明日から実行できる「収入の壁」の壊し方を解き明かす――。
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富裕層の外出は「道楽」ではなく「資産形成」

毎日同じ時刻の電車に乗り、同じルートで会社と自宅を往復する。スマートフォンの画面を見つめながら、1日1万歩を歩いたとしても、その軌跡は極めて限定されたエリアにとどまっている。現代社会において、この「効率的で無駄のないルーティン」こそが、ビジネスパーソンが次のステージへ進めない最大の要因ではないかと私は考えている。

富裕層マーケティングの現場に長く身を置いてきた経験から、一つの明確なパターンが見えている。資産1億円を超えるような経営者には、年に必ず数回、「目的のない移動」をスケジュールに組み込んでいる人が驚くほど多い。行き先を決めず、アポも入れず、ただ見知らぬ街を歩くためだけに数日間を確保する。傍から見れば完全な非生産時間だが、彼らは口を揃えて「この時間がなければ、今の事業は生まれなかった」と言う。

一方で、年商数億円の規模で成長が止まってしまう経営者にも共通点がある。彼らのスケジュールは隙間なく埋まっている。会議、会食、出張――すべてが「目的のある移動」であり、目的地までの最短ルートを地図アプリで検索し、移動時間にもメールを処理する。効率的だが、その効率性こそが思考の固定化を招いている。入ってくる情報が同質化し、既存のビジネスモデルを延長する発想しか出てこなくなるのだ。

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