富裕層は「休日の過ごし方」で稼ぐ
eスポーツの賞金総額が跳ね上がり、多くの人々がスマートフォンの中の仮想空間に安らぎを求める現代。通勤電車を見渡せば、誰もが小さな画面をのぞき込み、パズルや動画の世界に没入している。自宅では高精細なゴーグルを装着し、アバターを操作する若者も増えた。これらは、日々のストレスや閉塞した現実を一時的に忘れるための、安価で効果的な鎮痛剤のような役割を果たしていると言えるだろう。
しかし、あなたはこう感じたことはないだろうか。週末に映画を観ても、旅行に行っても、月曜の朝にはもう脳が「先週の続き」に戻っている。休んだはずなのに休めていない。判断力が鈍り、同じ問題をぐるぐる考え続けている。もしそうだとしたら、それは「休み方」そのものが間違っている可能性がある。
私は仕事柄、資産数十億円を超える富裕層たちと日常的に接しているが、彼らが富裕層たりえた理由は、学歴でも職業でもない。決定的な違いは「休日の過ごし方」にあった。彼らは休日に脳のOSそのものを再起動させ、翌週の意思決定の精度を別次元に引き上げる技術を持っている。そしてその技術には、資産規模に関係なく誰でも応用できる3つの法則が隠されている。
「迷子になる」サービスが売れる理由
法則1:「強制的に圏外になる時間」を設計せよ
現代は「接続(コネクティビティ)」の時代だ。24時間365日、私たちはネットワークに接続され続けている。ビジネスリーダーであればなおさらだ。
ニューヨーク市場の株価変動がリアルタイムで通知され、地球の裏側にいる部下からメールが届き、SNSでは自身の発言が瞬時に拡散される。彼らの脳は、常に情報の洪水にさらされ、終わりのない意思決定を強いられている。いわば、脳のCPUが常にフル稼働し、オーバーヒート寸前の状態が日常化しているのだ。
そんな彼らが休日に求めているのは、デジタルの安らぎではない。むしろ、「圏外」であることの贅沢だ。
彼らのこうした欲求を象徴する、ある極端な旅行プログラムがある。イギリスの高級旅行会社「Black Tomato(ブラック・トマト)」が提供する「Get Lost(ゲット・ロスト)」だ。
このサービス名が示す通り、目的は「迷子になること」である。
参加者は、出発当日まで行き先を知らされない。空港に行き、プライベートジェットやヘリコプターに乗せられ、場合によっては目隠しをされたまま連れ去られる。降ろされるのは、モンゴルの果てしなく続く大平原、北極圏の氷河、あるいは南米のジャングルの奥地といった、文明から完全に隔絶された場所だ。
「つながりすぎた日常」からの強制デトックス
そこで手渡されるのは、衛星電話と最低限のサバイバルキットのみ。Googleマップを使えば、世界中の裏路地までストリートビューで覗けるようになった今、彼らが300万円~時に1000万円という大金を払ってまで買うのは、「地図から消える」という体験なのだ。
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