家柄と学歴はもう決め手にならない
日本の婚姻件数は、50万組を割り込んだ。厚生労働省の人口動態統計(2024年)が示す数字は、戦後最少水準の更新であり、「結婚離れ」という言葉がもはや一時的なトレンドではなく構造的な現実であることを突きつけている。
平均初婚年齢は夫31.1歳、妻29.8歳。30歳を超えてから初めて婚姻届に判を押す男性が「普通」になった時代だ。
そんななか、「富裕層の婚活市場」がいま、大きく変わり始めている。入会条件を東大早慶出身者や医師に絞る相談所もあれば、女性の入会金だけで80万円、2年ごとの更新料が40万円というところも存在する。マッチングアプリ全盛の時代にお金のない人を物理的に排除することで、「場の質」を担保しているのだ。
筆者は今回、旧家・地主・資産家の子息と日常的に接するカウンセラーを取材した。富裕層の男性が結婚相手に求めるものとは何か。美人でスタイルが良く、自分に見劣りしない家柄と学歴。それは確かに好ましい。しかしそれ以上に求められる、たった一つの条件がある。
華道や茶道はむしろマイナスになることも
このカウンセラーによれば、コロナ禍を契機に婚活市場に思わぬ地殻変動が起きているという。まず、海外在住の富裕層男性が帰国し、相談所への入会が急増した。
ロンドンでもニューヨークでもシンガポールでも、異国の地でロックダウンを経験した男性たちが一様に語るのは、「孤独の中で、日本のよさに気づいた」という述懐だ。半年、1年と自宅に閉じ込められた時間の中で、「心優しい日本人女性と家族をつくりたい」という感情が、彼らの中でじわじわと育っていった。外資系金融、駐在経営者、海外に拠点を持つ資産家の次男坊……こうした「海外組」の流入は、コロナ以降の富裕層婚活市場における無視できない潮流となっている。
「大切なのは人間性です」。婚活カウンセラーたちは口を揃えてそう言う。しかしこの言葉ほど、聞き流されやすいフレーズはない。「人間性」とは何か。冒頭のカウンセラーはこう表現する。
「お家柄のいい方々は、所作を見ています。ただし、強すぎる所作はダメなんです」
これは深い。華道を習い、茶道を嗜み、着付けを学んだ女性が、お見合いの席で「完璧な和の女性」を演じることは、むしろマイナスに働く場合がある。なぜか。自己表現の強度が高すぎる人間は、相手の空間を侵食するからだ。
富裕層男性は、女性のどこを見ているか
これだけではない。富裕層の男性は、自らの経験と直感から、ある種の女性を静かに、しかし確実に遠ざける。本人すら自覚していないことも多いが、そこには一貫した論理がある。
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