心身のちょっとした不調を「五月病かな」と片付けていないだろうか。発酵食品のエキスパート、日本発酵文化協会上席講師の藤本倫子さんは「甘くみないほうがいい。その不調、腸から来ている可能性が高い」と警告する。では、どう対策をしたらいいのか。ライターの笹間聖子さんが聞いた――。

「脳より腸が先に生まれた」

なんとなくだるい、やる気が出ない、眠れない――五月病をはじめ、この時期のメンタル不調は、腸から来ている可能性が高いそうだ。

藤本先生は「そもそも生物には、脳より腸が大事なんです」と断言する。

「生物学的にいうと、脳は腸より後にできたんです。古い生物であるミミズを例に挙げると、彼らには脳みそがありません。でも腸はあるんです」

つまり、腸は脳より古い器官だ。脳ができるまでは腸の中の細胞が餌を「食べられる」と判断し、体を動かしてきたのだ。腸から脳に指令が行っているということだ。脳から腸への一方通行ではない。

「日本発酵文化協会」上席講師の藤本倫子さん
画像提供=藤本さん
「日本発酵文化協会」上席講師の藤本倫子さん

「だから脳が死んでも身体は生きていられます。でも腸が死んだら終わりです。腸死って聞かないじゃないですか。それぐらい腸は大事なんですよ」

と藤本先生は畳み掛けた。まるで「あなたはまだ脳だと思っていたんですか」と言わんばかりだ。ちなみに、藤本先生はちょっと辛口で知られている。

「ウンチの色」は腸からのサイン

腸の重要性は分かった。では、腸の乱れがなぜメンタル不調につながるのか。

鍵は「酸」にある。腸の中には、乳酸・酪酸・酢酸といった酸性の物質が常時ある必要がある。これを作るのが、乳酸菌・酪酸菌・酢酸菌といった善玉菌たちだ。

「善玉菌がたくさんいると、腸が酸性に保たれるんですよ。酸性に保っておくと、さまざまな栄養成分の吸収がよくなる。特にミネラルの吸収がよくなります」

カルシウムの吸収もよくなるそうだ。だが、どれだけカルシウムを摂っても、腸がアルカリ性に傾いていると吸収されずに出ていってしまう。

つまり、腸が整っていなければ、どんなに栄養を食べても吸収できない。結果として身体が不安定になり、メンタルに影響が出るのだ。藤本先生によれば、アルツハイマーも、最近の研究で腸内細菌の乱れが関係しているという研究報告があるという。

でも、自分の腸が今アルカリ性なのか酸性なのか、どうやって判断すればいいのか。藤本先生は「うんちの色を見ればいいわよ」ときっぱり。

「黒いほどアルカリ性、明るい色ほど酸性です。リトマス紙と全く一緒の原理で、酸性だと赤くなる、アルカリ性だと黒くなります」