ルイ・ヴィトンのバッグにユニクロを合わせる若者たちがいる。バブル世代が「ちぐはぐ」と一蹴するそのスタイルは、今や新しい「知性の象徴」だ。富裕層マーケティングを長く手掛ける西田理一郎さんが、シン富裕層の正体へ迫るための「大人の作法」を解き明かす――。
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「高いからかっこいい」はダサい

ユニクロのTシャツにルイ・ヴィトンのバッグ。ZARAのジャケットにディオールのスニーカー。ハイブランドをまとうZ世代――いわゆるシン富裕層にとって、この組み合わせに何の矛盾もない。むしろ、「組み合わせの妙」にこそセンスが問われると考えている。

「いつか成功したら買う」という発想を、彼らは持たない。ハイブランドとは自己表現の一部であり、「今、私が主役である」ことを証明する道具だ。だから単に高価なだけではダメなのだ。彼らは値札の先にある物語を求める。そして、その物語を語れないブランド消費を、彼らは静かに軽蔑している。

ブルネロ・クチネリのカシミアTシャツは10万円前後する。「10万円のTシャツを着ている自分」が欲しくて買う人がいる。高いモノを持っていれば自慢になる。高ければ間違いないはずだ――。この思想自体、もう古い。