現在の中国は、どんな経済状態なのか。評論家の宮崎正弘さんは「高層ビルが林立しようとも、国中に閉塞感が漂っている。豪華な商業施設も高速鉄道網もその多くは利用実態を伴っていない」という――。(第1回)

※本稿は、宮崎正弘『地獄の中国』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

広州南駅に到着するG6579列車(肇慶-香港西九龍行き)
広州南駅に到着するG6579列車(肇慶-香港西九龍行き)(写真=Tim Wu/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

中国がひた隠しにする「ゾンビ化」の実態

“ゾンビ企業”という言葉がある。とっくに経営破綻しているのに政府や金融機関の支援で延命している会社のことだ。今のチャイナは国全体がゾンビではないだろうか。もう、とっくに終わっているのである。称して“ゾンビ・チャイナ”。行き着く先は地獄!

ゾンビ・チャイナの実態は、ゴースト(幽霊)という表現がぴったり合う。

ゴーストタウン(人の一切いない町)、ゴーストテーマパーク(人っ子ひとりいない遊園地)、ゴーストリゾート(人気ひとけのない行楽地)、ゴーストシティ(人がいない都市)、そしてゴーストエアポート(ガラガラの空港)。これらは中国国内の惨状である。これに加えて深刻な問題が浮上した。ゴーストステーション(人のいない駅)だ。もはや、人も流れてこないのだ。

この実態の映像がときおりユーチューブで流れるが、それはそれは、生々しい映像である。繁華街の華やかなネオンやブランド店の繁栄が嘘だということがわかる。もう一度見ようとするといつのまにか消されている。日本でも、中国に不都合な画像は「中国の代理人」の手で管理されているのである。

現地で見た貧困の実態

私はかれこれ半世紀にわたり、中国33省をほっつき歩き、観光客がほとんど来ない山奥や田舎町を取材してきた。香港、マカオ、台湾を含めると200回は中華圏に渡航して、凄まじい貧困の実態をこの目で見てきた。

ニーハオ・トイレ(男女別の仕切りがない青空かわや)、ドブ川の水を汲んで麺をでる屋台。犬肉レストラン、戸籍がなく通学できない児童たち……。

改革開放時代の中国にはのびやかな雰囲気も漂っていたが、人々の目はギラギラと輝いていた。ほんのちょっぴりではあるが、言論の自由も1989年6月4日(天安門事件)まではあった。

以後、自由民主の活動家は血の弾圧のもとで殺されるか沈黙を余儀なくされた。一部の学生指導者は幸運にも海外へ逃げたが、残された人々は地獄に突き落とされた。2013年に習近平体制となってから弾圧・監視は苛烈かれつに強化され、言論封殺は度し難いほど残酷かつ荒々しくなった。