ゲストの“負担”は上限に近づきつつある

このように、OLCは、成長ドライバーを「人数×単価」とする従来のモデルから、成長ドライバーを「単価のみ」[売上成長率=入園者数成長率(≈0)+単価成長率(+α)]とする新たなモデルへと戦略をシフトした結果、構造的に成長率が低下しやすい状況を作り出したことになる。

この戦略シフトには、さらに問題がある。それは、単価成長は有限であるということだ。たとえば、1デーパスポートは、4人家族全員が大人であれば、合計で4万円を超えることになり、ゲストの心理的上限に近づきつつある。これは、単価一本足打法が長期的には不安定であることを意味する。

また、入園者数が伸びないということは、売上成長においてレバレッジが効かないことを意味する。固定費が高い事業で数量成長がないということは、新たなアトラクションに投資しても、売上は指数関数的に伸びることはない。

構造的に成長率が低下しやすい状況を作り出したのは、他でもないOLCが選んだ戦略の帰結である。つまり、これは、一時的な問題ではなく、経営モデルの転換点であることから、投資家はネガティブと捉えているのだ。

2014年11月29日、シャンゼリゼ通りにあるパリのディズニーストア
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視点② リピーターに依存する限界

2つ目の視点は、「リピーター依存モデルの限界」である。

IR説明資料や各種調査、業界分析などを総合すると、ディズニーリゾートのリピーター比率は概ね60~70%、新規・低頻度ゲストは約30~40%と考えられる。

これを人数ベースで見ると、たとえば、年間来園ゲスト数がピークに達した2018年(3255万人)であれば、リピーターは、約1950~2300万人分に相当することになる。

ここで注意しなければならないのは、その本質が、“人数減”ではなく、“来園頻度の低下”にあることだ。

従来の典型的な高頻度リピーター像は、「年間パスポート保有」「年間8~15回来園(月1回程度)」「飲食やグッズ消費の高さ」「平日や閑散期を埋める存在」であった。

しかし、現在は、同じ層の年間の来園が、年2~3回程度に低下することで、リピーター数自体は大きく減っていなくても、“延べ入園者数”が大幅に減少している状況にある。これこそが、「リピーター依存モデルの限界」の正体である。

それではなぜ来園頻度が下がったのか。それは、OLCが年間パスポートを廃止したこと、1デーパスポートを大幅に値上げしたこと、さらには、有料ファストパス(ディズニー・プレミアアクセス:DPA)を導入したことの3つの要因により、入園者の“1回あたりの体験コスト”が従来よりも大幅に上昇したことにある。