「年パス」廃止、リピーターほど抱く“割高感”
まず、年間パスポートについて考えてみると、年間パスポートが廃止になる前の2020年4月の最終価格は、6万8000~9万9000円であった。この価格で年12回(1カ月に1回程度)以上来園すれば、1回あたり7500円以下で済むことになり、リピーターにとっては、“行けば行くほどお得な設計”となっていた。
では、この年間パスポートが廃止されることで、どの程度の影響が出るのか。IR説明資料などの情報から総合すると、年間パスポートの利用者は、入園者全体の約10~15%と考えられる。しかし、来園回数ベースでは、20~30%を占めていた可能性がある。
つまり、年間パスポートの廃止は、延べ入園者数のコアエンジンをOLC自らが止めたことを意味する。
次に、1デーパスポートについて考えてみると、2015年の7400円から今では7900円~1万900円となり、約45%も上昇している。
この料金の変化から生まれるリピーターへの影響は、年12回の来園の場合、2015年では約8.9万円、現在では約13万円となり、年間パスポートよりも高くなることから、“ちょっと行く”が消滅し、“来園がイベント化する”という心理を誘引することになる。
さらに、DPAについて考えてみると、価格は現在、1施設1人1500〜2500円程度(時期により変動)であり、家族4人で1アトラクションを利用すれば、6000~1万円がかかることになる。
慣れている人ほど割高感を感じることから、リピーターであればあるほど、“毎回は使えない”という心理が働き、体験コストは高まる。
「体験コスト」が2倍以上に跳ね上がっている
このように考えてくると、これら3つの要因を合算した入園者1回あたりの体験コストは、年間パスポート時代であれば、入園+無料FP(ファストパス)で実質5000~6000円であったが、今では、入園+DPAで1万2000~1万4000円となり、2倍以上に跳ね上がってしまうことになる。
リピーターの来園頻度が下がることは、収益構造についても変化をもたらす。従来の収益源は、“高頻度利用のリピーター”であったが、今では、それが“低頻度高単価”に置き換わっている。この代替は、強かった景気耐性が弱体化し、高い安定性を維持してきた収益構造を低下させてしまうという状況を作り出すことになった。
リピーターのような高頻度層は価格耐性が低いことから、一度頻度が落ちると戻りにくい。それゆえ、モデル自体が不可逆的であると言わざるを得ず、この点にリピーター依存モデルの限界があるといえる。
OLCは、“来園回数を売る会社”から“1回あたりの体験を高く売る会社”へと戦略をシフトした。これにより、短期的には、客単価が上昇し利益率は高まることになるが、中長期的にみれば、延べ需要が縮小し、収益のボラティリティ上昇――“贅沢な体験”へと変わったことによる収益の不安定化というリスクを招くことになる。


