抗炎症薬を服用して症状が長引くことも

何だかだるいな、風邪を引いたかもしれないというときに、どのような手を打っているだろうか。私は体調不良時に必ず服用する薬がある。本記事の最後に紹介したいと思うが、知り合いのベテラン編集者は、調子が悪いと感じたらすぐに市販の『ルルアタックEX』(総合感冒薬)と『葛根湯かっこんとう』(漢方薬)を一緒に服用するそうだ。そして一晩寝ればすぐ良くなるという。

風邪をひいて、ベッドの上で片手にマグカップを持ちながら鼻をかむ女性
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だがそれを聞いたとき、正直そんなはずはないだろうと思った。葛根湯は熱を上げることを手助けする作用がある。ウイルスが熱に弱いからだ。それに対して解熱消炎成分を含む、つまり熱を下げようとする総合感冒薬は相反する働きをもつ。同時に服用することで効果が高まるとは思えない。そもそも風邪薬の服用にどの程度のメリットがあるのか。改めて取材をした。

慶應義塾大学医学部漢方医学センター長などを経て、現在は修琴堂大塚医院院長を務める渡辺賢治医師は「まず前提として、体内へのウイルスの侵入を防ぐことはできない」と説明する。

「私たちの身の回りには常にウイルスがいますから、完全にブロックすることは不可能です。第1段階では鼻やのどなどの粘膜で防御し、それをすり抜けたものが体内に入って増殖します。第2段階として体内でウイルスなどの敵を発見したらその場で撃退、あるいはさらに多くの免疫細胞を集めて敵を攻撃するなどの免疫機能が働いています。ですから免疫力が高ければ、それ以上のウイルスの増殖を防げます。ところが何らかの理由で免疫力が低下していると、敵の増殖力や攻撃力に対抗できず、風邪を引いてしまう(=発熱、鼻水、咳などの症状が出る)。第1、第2段階における初期の対応が肝心なのです」

たとえばインフルエンザウイルスの場合、1日で100万倍に増殖するといわれる。そこで不調を感じたらすぐに「葛根湯」などを服用すると、いわば自身の免疫機構へ“援軍”を送ることになる。免疫力が高まり、ウイルスの増殖を防げるというのだ。

「通常、ウイルスに感染した細胞はSOSのサインを出し、体温を上げる指令が出されます。すると筋肉が震えて熱産生をし、汗腺を閉じて鳥肌が立ち、熱の放散を防いで、体温が上がります。葛根湯はこれをサポートしてぶわっと発熱させることで、すぐ回復へ向かわせます。熱が出るということは生体の最大の防御機構なんです。熱が上がれば上がるほどウイルスは死滅しますから」(渡辺医師)