血圧が正常値内でも危ないケースがある

秋に健康診断を受けた人はそろそろ結果が出た頃だろう。健診の基本である「血圧」の値はどうだっただろうか。血圧が高かった人も、正常値内だった人も、健診の血圧だけで判断してはいけない。

高血圧専門医で日本歯科大学客員教授の渡辺尚彦医師がこう解説する。「外来で測定すると、半分以上の人は普段より血圧が高くなります。また高血圧症と診断された人の約15〜30%は『白衣高血圧』といわれています。医師や看護師の白衣を見てストレスや緊張で一時的に血圧が上昇し、高血圧と誤認される状態ですね。もちろんこの場合は、降圧薬は不要です」

実は私も20代半ばからそうである。家で測るとむしろ低血圧なのに、病院では必ず高血圧。健診では毎回、血圧のみ「要経過観察」の烙印を押される。「白衣高血圧の人は緊張しやすい性質でもあると思いますので、本物の高血圧に移行しないように気をつけましょう。一方で、健診で血圧が正常値内だった人の中にも、危ないケースがあります。医療機関で測るときは正常でも、早朝や夜間、職場などで高血圧になっているタイプです。『仮面高血圧(隠れ高血圧)』と呼ばれ、知らぬうちに臓器障害が進んでしまいます。JAMA(米国医学誌)には、『仮面高血圧と高血圧治療コントロール不良』群は、『血圧正常と白衣高血圧』群と比べて、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが2.5〜3倍になると報告されています」(渡辺医師)

【図表1】血圧が高い人も、正常値内の人も、 健診の血圧だけで判断してはいけない
※資料提供:渡辺尚彦医師

仮面高血圧は多量飲酒者や喫煙者に多いという。本来の数値を把握するには、血圧測定器を買って朝と夜の1日2回、「家庭で血圧を測ること」だ。家庭では収縮期血圧(上の血圧)が135(mmHg=以下同)/拡張期血圧(下の血圧)が85を超えなければOK。逆に一度でもその数値を超えるようであれば、高血圧症の可能性がある。「家庭で血圧を測定する際は、朝は起床して1時間以内で朝食前、排尿後であること。トイレを我慢していると血圧が上がってしまいますから、くれぐれも排尿を済ませてから測りましょう。夜は就寝前、排尿後がお勧めです。これを毎日朝晩ノートに記録してください。健康管理を医療者任せにしない気持ちが大切です」(同)