ペニスに動脈硬化の兆候が出やすい理由

本連載第5回(10.18号)では「薄毛」を取り上げ、「女性から見て男性の薄毛は気にならないが、本人が悩むのなら」と最新治療法を紹介した。しかし同じく男性特有の悩みでありつつ、放っておけないのが「ED(Erectile Dysfunction)」=勃起障害である。

EDとは勃起しないだけでなく、十分な硬さに至らなかったり、持続できないために満足な性交渉ができない状態で、40代の約35%、50代の約半数、60代の約7割が該当すると考えられている。

ベット上で手で顔を覆う男性
写真=iStock.com/Arnon Mungyodklang
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これを放っておけないのは、EDの根本原因が「動脈硬化」である可能性が高く、やがては心筋梗塞や脳卒中などの発症につながる恐れがあるからだ。海外で40~59歳を対象に、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)とEDの関連を調査した研究報告では、疾患の重症グレードが上がるほどEDの発症率も、18%(グレード1)、57%(グレード2)、66%(グレード3)と明らかに高くなっている。

日本抗加齢医学会専門医・評議員で日本泌尿器科学会専門医の平野敦之医師(美健会理事長、ルネスクリニック日本橋院院長)は「国内でもEDのおよそ7割が血管系の問題から起きているといわれる」と説明する。

「男性が興奮すると、テストステロン(男性ホルモン)の作用によって、神経を介してペニスの海綿体の血管に一酸化窒素が出ます。これは血管をしなやかに保つため、そして血管を拡張させるために欠かせない成分です。しかし加齢などの要因でテストステロンの分泌が低下すると、一酸化窒素の出が悪くなり、ペニスの海綿体に十分に血液がいきわたらなくなってしまいます。この場合、いくらやる気があっても、勃起力が足りずにことを果たせないという結果に……。長引くほど、男としての自信も失いがちになります」

そういった性交渉の問題だけでなく、テストステロンが減って血管のしなやかさを保つ一酸化窒素の量が落ちてくると、全身の血管が硬くなり、動脈硬化につながって高血圧症に、さらには冠動脈疾患のリスクを高めてしまうのだ。

平野医師によると「ペニスの海綿体の血管は最も細いため、一番最初に動脈硬化の兆候が出やすい」という。つまりEDを自覚したら、「年だし、仕方ないか……」ではなく、心臓病や脳卒中の早期発見につながる重要なサインとして受け止めたい。そして血管の状態をチェックできる検診をお勧めする。

それでは、EDそのものは治療したほうがいいのかどうか。