「歩くのもつらい」が一つの目安
前回は、インフルエンザワクチンの必要性についてお話しました。
参照記事:受験生なら絶対にインフルワクチンを接種すべき…小児科医が親に「年内に2回注射」を推奨するワケ
しかし、ワクチンを接種していても100%感染を防げるとは限りません。特に受験生とその家族はこれから受験シーズンを迎えるにあたって、不安に思っている人が多いと思います。
もしもインフルエンザに罹患してしまった場合にどうすればいいのでしょう? 今回は受診するまでの注意点や最新の検査方法などについて考えてみます。
インフルエンザ初期の症状は人によってさまざまですが、身体のだるさ、咽頭痛、鼻汁などがあって、やがて発熱が起こってきます。発熱が生ずるのと前後して、膝などの関節痛や、太ももなどの筋肉痛も出てきます。
典型的には、「歩くのもつらい」という症状が出てきたらインフルエンザを疑いましょう。後述するように、発熱直後の受診ではなかなか診断がつかないことも多いため、まずは熱が下がってくるかどうか様子を見ましょう。一晩寝ても熱が下がる傾向がなければ、インフルエンザの可能性が高くなります。
インフル以外の可能性も捨て切れない
インフルエンザを疑ったら、受診をおすすめします。苦しい期間を短縮できる治療薬があるからです。インフルエンザの流行する株によっては、あまり高熱にならずに、胃腸の症状(吐き気など)などが主になることもありえます。
さて、つらい状況で受診をしたのに、クリニック、病院などではお子さんたちはつらい診察を受けることになります。しかし、このつらい診察は必要なのです。
インフルエンザの診断をする上で、喉(咽頭)の観察は必須です。医師は、発熱患者の咽頭を観察して、さまざまな疾患の可能性を考えます。
例えば、集中して微細な点状発赤が見えれば溶連菌感染を、咽頭全体から扁桃腺まで腫れていればアデノウイルス感染やEBウイルス感染を、咽頭に口内炎様の発赤があれば手足口病やヘルペス感染を疑います。これらの所見に流行状況を鑑みて、どのような検査が必要かを考えるのです。
すべての検査を同時に行えばいいのですが、日本の健康保険制度では全検査を同時に行うことは許されません。