発熱していない人の検査は保険適用外
ただし、この検査は咽頭で繁殖しているウイルスの抗原を拾い上げるものですので、ウイルスが十分に繁殖していない場合には検査しても偽陰性になってしまう可能性があります。このウイルスが十分に増加していない可能性を考えて、症状発現後12時間経過しないと検査は行わないとしている施設もあるようです。これも、科学的な予測判断に基づいたものであるといえるでしょう。
年末年始など長期休暇前に「旅行に行きたいので(休暇を楽しく過ごしたいので)、熱はないけど検査してほしい。」と受診される方がいます。しかし、発熱の事実がないのに、念の為の検査で診断はできません。厳密にいうと、保険診療にもできず、自費診療で検査費用を全額払っていただかないと検査はできないのです。
こういった内容をお伝えすると、「検査してくれないなら、ネットに書くぞ!」と凄まれたこともありました。しかし、混雑している年末の外来で、「念の為検査」は医療現場にとって大きな負担になります。
「念のため検査」はむしろ仇となる
むしろ、混雑している外来で待つことで、親子ともどもインフルエンザに感染してしまって、年明けに受診されるケースがあります。「医療機関が感染の原因ではないのか?」と詰問された経験もあります。
しかし、インフルエンザウイルスが蔓延しているであろう場にわざわざ子どもを連れてくるのですから、感染は避け得ない状況なのです。「念のため」が、むしろ仇になってしまうケースです。
さて、鼻から綿棒をいれて検査する抗原検査は、最低12時間以上経過しないと信用できる結果が得られないことはわかりました。それでも、できる限り診断をつけたいと考える保護者さんはいらっしゃいます。たとえば、自宅に高齢者の方が一緒に生活している場合など、どうしても正確な診断と治療を受けたいことがあるでしょう。
この場合に、すべての施設で幅広く定着している検査ではありませんが、Nodocaという検査やPCR検査では、発熱後短時間でも信頼できる結果を得ることができます。