世の中は「投資」ブームであるが、自分に投資するのが一番大切だといえる。何といっても、創造性やコミュニケーション能力を通して、価値を生み出すのは「私」。人工知能全盛の時代になっても、人間が経済のど真ん中にあることは変わらない。

しかし、自分に投資することは、難しい。何が自分を高めるのか、その本質が見極めにくいからである。自分への投資というと、学んだり、自分を磨いたりすることが中心となるだろうが、そこからさらに、服装やグッズに投資することも、「自分への投資」ととらえる人もいる。

高級な乗用車や、高価な腕時計、そしてブランドのバッグや、デザイナーの服などを通して、自分の気持ちが上がるという人もいるかもしれない。頑張って稼いで、あこがれのアイテムを手に入れたいという人もいるだろう。

その人らしい持ち物で、魅力が増して見えることはもちろんある。ある程度お金がかかっても、そのことによって、運気が上がるという考え方もあるかもしれない。

一方で、モノにお金を使うことが、時に勘違いや上すべりのように感じられることもまた事実である。どんなに高級なアイテムに囲まれていても、本人のパフォーマンスが今ひとつだと、説得力を失ってしまう。

その点、大いに注目したいのは大谷翔平選手である。大リーグで一番のスターになった大谷選手は、当然、巨額の収入に恵まれている。どんなに高級なモノでも、大谷選手ならば簡単に手に入れることができるだろう。

しかし、大谷選手は、派手なブランド品を身につけたりなどはしない。そのような見栄のための浪費をしていないから、生活は質素に見える。

実際には、身体のコンディションの維持や、ストレスなく暮らすためのプライバシー保護のために莫大なお金がかかっているともいわれる。それらのすべては、野球のプレーヤーとしての大谷選手の心身を整えるために使われているのである。

大谷選手は、世間でいうところの「浪費」をせず、野球で結果を出すための必要経費に「投資」しているといえる。そのような在り方が、大谷選手のパフォーマンスを最高で持続可能なものにしている。

3月6日、WBCの日本対台湾戦で、先制の満塁本塁打を放った大谷翔平選手。素晴らしいパフォーマンスは自己投資の賜物だ。
3月6日、WBCの日本対台湾戦で、先制の満塁本塁打を放った大谷翔平選手。素晴らしいパフォーマンスは自己投資の賜物だ。

スポーツ選手は、一流の人ほど、自分自身のコンディションを整えるための投資を惜しまないようだ。高級な車や時計よりも、自分自身の心身を整えることが大切だとわかっているからである。

(写真=時事通信フォト)

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