私は、カレーが大好きで、しばしば口にする。本格的なインド風のカレーも好きだし、日本で発達した独自の「カレーライス」文化も心から愛する。最近でも週に3回はカレーを食べるし、カレーパンなどの派生食品も口にすることが多い。
「脳科学者がカレーを好んで食べる理由」は何だろうか?
まずは、単純に好きだということが大きい。好きなものを食べると、脳の中で報酬系が活性化する。神経伝達物質のドーパミンが放出されて、神経細胞と神経細胞の間のシナプス結合が強まる「強化学習」が起こる。
神経細胞のつながり方が密になって、何重にもネットワークが構成されると、それだけ年齢を重ねたときの劣化に強くなり、アンチエイジングにつながる。つまり、自分の好きなものを口にすることが、「老けない食事術」の秘訣となる。私の場合は、それがカレーにあたるのである。
身体や脳に良くても、苦手だと食は進まない。
「良薬口に苦し」と言っても、限界がある。カレーの場合には、何と言っても、「好き」ということが、ドーパミンを中心とする報酬系の活性化にもつながって、脳を強くする。
「好き」だからこそ、「脳に良い」のである。
カレーという食の成り立ちも、脳への作用と大いに関係する。普段何気なく口にしているカレーだが、実はとても複雑で豊かなスパイスのブレンドからできており、私たちの脳の嗅覚野や味覚野をさまざまな角度から刺激してくれる。子どもも大好きなカレーは取っつきやすい一方で、奥行きがあるのだ。
以前、東京にあるフレンチの名店、「シェ・イノ」の古賀純二シェフと、カレーを作る番組を収録したことがある。
「現代の名工」にも選ばれている古賀シェフと、大好きなカレーをキッチンで料理する体験は格別だった。私たちは普段はすでに用意されているカレーのルーの素を使うことが多いけれども、番組では、さまざまなスパイスを混ぜ合わせて最初からカレーを作った。クミンやコリアンダー、ブラックペッパー、ターメリック、それにシナモンなどのスパイスをブレンドしていくと、次第に馴染み深い「カレー」になっていくのは、魔法のようであった。
カレーの人間の脳に対する作用は、さまざまなスパイスが神経細胞の活動を活性化し、脳を若々しく、強くするということもあるけれども、同時に、「認知的な負荷」の「量」と「質」という点でも興味深い。
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