AI(人工知能)の発達によって、私たち人間の仕事や生活のあり方も様変わりしようとしている。しばしば言われることだが、AI自体が、単独で人の仕事を奪い、駆逐していくのではない。AIをうまく使いこなす人が、使いこなせない人を駆逐していく。

AIをどのように使うべきか? これは、仕事だけでなく、生活全般において大切な問いであろう。重要なのは、AIではなく、人間を、とりわけ自分を真ん中に置くことである。

私自身のAIの使い方は、殆どのやりとりが科学や技術に関するきわめてオタクな議論で占められている。人工知能や脳科学、認知科学、物理学、生物学、数学、論理、コンピュータサイエンスなどの技術的な問いについて、数式や論文の引用を含めて「壁打ち」するというのが日常の使い方になっている。やり取りは基本英語である。

私のもう一つのAI使用法は、データ解析やシミュレーションのPythonのプログラムをAIに書かせて実行させるというもので、いろいろとやりとりすることで様々なヒントを得ている。

科学者や技術者のAIの利用法としては、私のやり方は決して特別なものではない。しかし、世間におけるAI活用法としては決して一般的なものではないだろう。

AIが今後社会の中で普及していくプロセスにおいて、さまざまな利用法のポイントを検討しておくことは、とても有意義なことである。以下に、ソーシャルメディアや私の周囲の方々から見聞きする、「AI活用法あるある」のいくつかのケースについて、私から見たポイントを記したい。

まずは、AIを「悩み相談」や「カウンセリング」で活用するケースである。人工知能が今日のように高度な能力を獲得する前から、いわば「王道」の活用法といえ、実際にそのように利用している人は多い。

AIの悩み相談がすぐれているのは、何よりも「記憶」が正確で長いことである。人間相手に相談したことがある人は知っているように、人間の記憶は曖昧で、前に言ったことを忘れてしまうことも多い。「そんなこと言ったっけ?」「言ったよ」と認識のすれ違いをいちいち指摘するのは、時に疲れる。

AIは、基本的に、前にこちらから書いたことは忘れない。従って、長くやり取りをすればするほどに自分のことを「良く知っている」AIが出来上がる。自分にとっても、自身を振り返る一つの記録になる。

また、AIの相談で良い点は、回答が多くの学習データを反映したバランスのとれたものであるということである。人間相手の相談では、どうしてもその人の過去の経験や、価値観が反映されることが多い。もちろん、そこから学ぶこともたくさんあるが、一方で偏りのリスクがあって、時に参考にならないことも確かである。

(写真=iStock)

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