「すぐやる」ことは、この時代において必要不可欠な技術であると言える。
何よりも、人工知能の発達によって、さまざまなことの処理が加速化している。以前と比べて10倍、100倍、1000倍のスピードでものごとが進んでいく。
せっかく良いアイデアでも、早く実現しないと、競争相手がやってしまうかもしれない。同じことをするにせよ、すぐやること自体に価値の基盤がある時代なのである。
また、そもそも、一つのアイデアが「良いこと」であるという前提条件が、時間と共に失われてしまう状況でもある。バスケットボールで軸足を中心に回転するプレイ、「ピボット」が時代の象徴として語られる中、ピボットで姿勢を変えたら、あとはパスをしたりシュートをしたりといった次のプレイに移らなければならないのだ。
すぐやるという時代の精神を最も体現している人と言えば、起業家のイーロン・マスク氏だろう。電気自動車の「テスラ」や、宇宙開発会社の「スペースX」、そしてソーシャルメディアの「X」(旧ツイッター)を率いるマスク氏は、すぐやるということを基本的な姿勢としている。「火星に行く」「汎用人工知能をつくる」といった目標を、周囲の人が「それは無理だろう」と思うような計画を立てて実行していくのである。
マスク氏の周辺では、非現実的かつ、すぐやる計画を、「イーロン・タイム」と呼ぶようになっていると言う。マスク氏の「イーロン・タイム」こそが、すぐやること自体に価値がある現代の状況を象徴しているようだ。
ところで、すぐやることには、脳や体のアンチエイジングという視点から見ても効果がある。すなわち、すぐやる人は老けないのである。
すぐやる人は、なぜ老けないのか。先延ばしせず、すぐやることで、脳の衝動・直感・好奇心・感情に従って体を動かすことといった回路が活性化し、その機能が保たれる。メンタルが若々しい人は「すぐやる」ができる。逆に、「すぐやる」を習慣化すれば、メンタルが若々しくなると言える。
すぐやるを実行するためには、何よりも、選択や判断が速くなければならない。そのために必要なのは前頭葉の働きである。すぐやるを支える即断即決を実行することで、前頭葉の機能が若々しく保たれるのだ。
また、実行する際の運動機能の回路も、それを速く作用させることで機能を高く保つことができる。健康診断における加齢の判断でも、動作がどれくらい素早く、機敏であるかということが、検査項目にあるほどである。
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