発熱後2時間程度でも診断できるNodoca

Nodocaは、咽頭にリンパ濾胞が観察できる場合に、その画像を撮影し、AIにて診断をつけることができる機器です。私自身、ここ1カ月で発熱後2時間程度の患者さん数名に検査を行い、迅速に診断をつけることができています。6歳以上であれば、保険診療で検査を受けることができます。

マイナスの点といえば、器具を喉にいれることで嘔吐を誘発してしまうことがありえます。透明な舌圧子様の器具を喉に入れて画像を撮影するのですが、「おぇっ!」となってしまうことがあります。

先日の外来でも、嘔吐を誘発させてしまいましたが、結果は「陰性」でした。「つらい思いしたけど、よかった」と感想をくれた子は中学生で、翌日には解熱して、翌々日には学校の定期試験を受けることができたようです。やはりインフルエンザではなかったのでしょう。

また、PCR機器は、インフルエンザを含む複数の感染症を同時に診断することができる機器で、発症後早期でも診断をつけることができます。残念ながら、私自身は使用経験はないのですが、感染症の診断は楽になったという感想が多いようです。

これらの機器は、まだ医療現場に定着してはいませんが、ここ数年で一般の医療施設にも広がっていくものと思われます。これらの機器がかかりつけ医施設にあるかどうかは、受診の際などに聞いておくといいでしょう。

医師が下す「みなし判断」への誤解

これまで、検査に関してお伝えしてきましたが、実は検査を行わずとも医師はインフルエンザと診断することができます(「みなし診断」といいます)。検査はあくまでも参考所見であり、流行状況や症状等から総合的に判断してインフルエンザと診断することができるのです。

これまでの診療経験で、一般の方々が「明らかな勘違い」をしているなという事例があります。それは、「みなし診断」に関する無理解によるものです。

「みなし診断」にてインフルエンザ治療薬を処方したところ、そのお子さんが通う幼稚園、保育園、学校などから「検査をしていなければ出席停止にはできない。検査をしてもらうように」と指示されているケースを数例経験していますが、これはナンセンスです。

ただでさえ状態の悪いお子さんを混雑した外来に連れてくれば、本人が疲弊するだけでなく、周囲に感染を拡げてしまう可能性もあります。そもそも、園や学校には、親に検査を強要する権限などありません。権限逸脱として医師法等に抵触する可能性もあるのです。