経営者の送迎に使用されているアルファードは、かつて「搬入車」として扱われることも多かった。そのイメージを変えたのが豊田章男だった。専属ドライバーの立山信一は、章男を「ショーファーカーをつくる人」と語る――。

若い経営者が乗りたくなるショーファーカーはどんな車だ

開発陣に指示を出し、2代目アルファード(2008年〜)では車内の静粛性と乗り心地を向上させた。3代目(2015年〜)からはエグゼクティブラウンジという後部座席を重視するグレードを追加した、そして、4代目(2023年〜)は名実ともにショーファーカーとなった。

立山信一は「会長がアルファードを変えました」と言った。

「アルファードを今みたいなVIPが乗る車にしたのは会長です。自ら乗って、運転もして、評価して、開発主査の方と一緒に仕上げていきました。高さがあっても揺れないようになりました。会長はアルファードも使っています。ホテルへ行くと、搬入口へ回されることなく、ドアマンの方が最敬礼してくれます」

現在、豊田章男はセンチュリーのセダン、SUV型とアルファードの3台を使い分けている。都市の中の移動ではセダンのセンチュリーだ。栃木のモビリティリゾートもてぎ(サーキット)へ行くような遠出の時はSUV型に乗る。そして、秘書、部下と打ち合わせをしながら移動する場合はアルファードにしている。

そして、アルファードだけではなく、もう一台、豊田がショーファーカーとして定義付けようとしている車がある。それがクラウンエステートだ。クラウンのセダンより後部を長くした形の車で、SUVと言っても通用するデザインだ。シートや内装をグレードアップすれば、若い経営者が乗りたくなるショーファーカーに仕上げることができるだろう。

「センチュリーに乗る貫禄はない。かといって、アルファードはみんなが乗っているから嫌だ」

そういう人たちはスタイリッシュになったクラウンエステートを選ぶと思われる。

立山は「豊田会長はショーファーカーをつくる人です」と言った。

「アルファードもそうですけれど、クラウンエステートだって会長が『これはショーファーカーだ』と言ったら、そうなると思います。そういう人です。ショーファーカーを定義付ける人なんです。

会長は後席に乗るお客さまです。同時にマスタードライバーとして車を評価して、言葉にできます。ブレーキの利きが悪いと言うだけでなく、ここを直そうと指示できる方です。プロの乗客でプロの評価ドライバーです。

(イラストレーション=浅妻健司 写真提供=トヨタ自動車)

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