センチュリーを運転するのは、オーナーではなく専属ドライバーだ。開発にあたり、彼らの声は欠かせない。豊田章男にも、専属ドライバーがいる。ショーファーのプロフェッショナルしか知らない、超一流のための心遣いとは。

どうすればセンチュリーに乗る富豪とVIPの気持ちが聞けるのか

センチュリーを聡明と表現したのはこれほど絶え間なく進化を続けている車は他に考えられないからだ。センチュリーは一日に2台ほどの生産だ。ほぼ手づくりだから、一台を組み上げる時間は他の車種よりも長くかかる。時間はかかるがその代わり、生産工程で小回りが利く。顧客からのフィードバックがあれば、製造中の車両にすぐに改善点を生かすことができる。

ただし、改善には客からの的確な評価が必要だ。センチュリーの乗り心地や細部に対して「客」から反応がなければ、どこをどう改善していいのか開発者も見当がつかないのである。これが普通の乗用車であれば、開発者自身がオーナードライバーの気持ちを汲むことができる。

しかし、センチュリーのようなショーファーカーの場合、企業のサラリーマンである開発者は富豪やVIPのようなオーナードライバーに成り代わることはできない。生活環境が違うから富豪としての感想を言うことはできないのである。仮にセンチュリーに乗っていて、不都合を感じたとしても、「まあ、いいか」と問題にしない恐れがある。