1998年、橋本内閣は省庁再編に取り組み始めました。まだ30代でアサヒビールの営業をしていた私は、民間人の知見が必要だからと中央省庁等改革推進本部事務局へ出向することに。当時会長だった樋口廣太郎ひぐちひろたろうさんに、「友達をいっぱい作っておいで」と送り出された。そこで出会ったのが土屋さんです。

土屋さんは当時、新設される厚生労働省の準備を担う旧労働省の室長補佐でした。同世代の我々は、組織や法令のあり方を巡って毎日のように議論を重ねました。

感心するのは、土屋さんの物事の捉え方です。自らの仕事を「政策の営業」だと語る。民間企業のお客さんが生活者なら、省庁のお客さんは国民です。相手の話を聞き、アイデアを手直ししながら、国民の皆様に納得してもらえる政策になるようコンセンサスをつくっていく。表面的なルールをなぞるのではなく、なぜそのルールがあるのか、その土台にあるものは何かを常に考えている。畑は違えど、良い組織をつくり世の中を良くするという根っこは同じだと、気づかされました。

(構成=本誌編集部 撮影=宇佐美雅浩)
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