同世代の経営者らが集まる場で最初に阿闍梨さんのお話を聞いたときには本当に驚きました。奈良県の吉野山で高低差1355メートルの山道を毎日48キロメートル、1000日間にわたり歩き通す「千日回峰行」に加え、「四無行」「八千枚大護摩供」という荒行を満行されたというのです。とても人間業とは思えません。しかし目の前の阿闍梨さんがそれを成し遂げたのだと考えれば、人間の可能性の豊かさに勇気づけられる思いがしたのも事実です。私たちはつい自分自身の能力を枠にはめ、限界を意識してしまいがちですが、実はもっとやれるんだよ、と背中を押してもらえた気がしました。今では仙台・慈眼寺で開かれる護摩修法に参加するほか、折に触れ友人たちと阿闍梨さんを囲む食事会を開いたりする仲です。

田口義隆さん、塩沼亮潤さん、東京・日本橋にて。
東京・日本橋にて。

「生き仏」とも呼ばれる阿闍梨さんですが、人当たりがよく誰とでもフラットに話をされます。楽しい会話を続けるうちに気づきをもらうことも多々あります。たとえばよく口にするのが「里に下りてからのほうが修行ですよ」という言葉。山で修行を重ねていたときよりも、里で人間関係を含めさまざまな困難にぶつかったときのほうが人格を磨く機会になったというのです。だから「日々仕事に向かっているみなさんも修行をしているということです」と言われれば、自分も頑張らなくちゃという気持ちにさせられます。これからも仲間とともに、阿闍梨さんとの気づきの多い会話を楽しみたいと思っています。(田口)

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2025年1月31日号)の一部を再編集したものです。

(撮影=的野弘路 構成=プレジデント編集部)

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