完売したはずの開会式に目立った空席
名古屋の瑞穂公園陸上競技場で9月19日、日本では32年ぶりの開催となるアジア競技大会の開会式が行われた。アジア・オリンピック評議会(OCA)のシェイク・ジョアン・ビン・ハマド・アール・サーニ会長は、コロナ禍で1年延期された東京五輪に言及した。そのうえで、「世界がもっとも必要としたとき、日本はいつも応えてきた」と述べ、開催国をたたえた。
だが、3万人収容のスタンドには空席が目立った。カタール国営衛星テレビ局のアルジャジーラによると、場内では開会式の入場券が完売したとアナウンスされたが、OCAのフセイン・ムサラム事務局長は販売率が7割だったと明かした。同局は、台風接近に伴う警報を受けて観客が来場をためらったことを、空席の一因に挙げている。
選手村を建設せず、広告大手の電通も起用しない。異例の準備で臨んだ大会は、開幕前からつまずいていた。
最大の問題は宿泊だ。選手らはホテル、クルーズ船、コンテナ型宿泊棟に分散して泊まる。五輪の参加選手数を上回る1万1000人超の選手と約6000人の役員の宿泊をこれらの施設で手配する作業に追われ、大会組織委員会(組織委)の対応は限界に達したと、AFP通信は報じた。
経費膨張が迫った2つの決断
組織委が取り組んだのは、選手村を設けないことと、電通に頼らずに大会を運営することの2つだった。準備の段階では、組織委はどちらにもそれなりの手応えを感じていた。
まず、選手村を設けなかったのは経費を抑えるためだ。日本経済新聞によると、アジア大会とアジアパラ大会に関わる経費は、物価高で当初見込みの3倍超の約3700億円に膨らんだ。組織委は建設費の高騰などを理由に選手村の整備を取りやめた。愛知県は、これにより経費を600億円超削減できたと説明する。
代わりに、名古屋港に停泊するイタリアのクルーズ船「コスタ・セレーナ」に延べ約4000人が泊まる計画だった。インド週刊誌のアウトルック・インディアによると、港のコンテナ型宿泊棟には約2000人が滞在し、残りはホテルに宿泊する。
もう一つの挑戦である「脱電通」は、想定外の事態から始まった。

