まるで椅子取りゲームな宿舎割り当て

実際、開催国の日本選手団でさえ部屋割りをめぐるトラブルに悩まされており、事態は選手団側の書類の不備だけでは説明がつかない。組織委の側にも、少なくとも2つの要因がある。1つは、経費を抑えるため、五輪より多い選手と役員を各地に分宿させたことだ。もう1つは、組織委に大会運営の経験が乏しかったことである。

時事通信は、準備不足や人為的なミスが多く、大規模な国際スポーツ大会の運営力に疑問を持たれかねない事態だと指摘した。同通信によると、大会関係者は「運営やノウハウ、人材は一からの積み上げ。そういった苦しみはある」と話していた。

韓国に限らず、各国の選手団が大会運営に不満を募らせている。宿舎の割り当てと輸送をめぐる混乱は、開会式から5日たっても収まらない。

タイ・オリンピック委員会のチャリトラット・チャンドルベクサ副事務総長は24日、部屋不足について、「最初から今まで、ずっと問題が続いている」とAFP通信に語った。最も混雑した日、タイ側はクルーズ船の寝台を201床求めたが、用意されたのは170床だった。名簿に名前のない選手は別の宿舎に振り分けられ、新たな選手が到着すると、先に滞在していた選手が部屋を出て、ほかのホテルを探さなければならなかった。

チャンドルベクサ氏は、「まるで椅子取りゲームだ」と嘆く。医療チームの宿は名古屋から1時間半離れており、東京から借り増しした車で選手のもとへ通っている。

2026年アジア競技大会の期間中、選手や大会関係者の宿泊施設として使用される全長290メートルのクルーズ船「コスタ・セレーナ」が、愛知県名古屋市の名古屋港に停泊している様子=2026年9月15日
写真=AFP/時事通信フォト
2026年アジア競技大会の期間中、選手や大会関係者の宿泊施設として使用される全長290メートルのクルーズ船「コスタ・セレーナ」が、愛知県名古屋市の名古屋港に停泊している様子=2026年9月15日

空港で6時間待たされた中国の体操選手

台湾は過去の経験から最悪の事態を想定し、予備としてホテルの部屋を100室確保していた。それでも、中華台北オリンピック委員会のスティーブン・チェン報道官によると、ベッドが足りないと知らされたのは出発直前だった。「どの国にとっても大きな痛手だった」と語る。

選手たちは、日本の空港に降り立った時点から足止めされていた。その窮状はSNSで拡散し、自国の総領事館や日本在住の同胞が支援に乗り出す例まで出た。

中国の張博恒(チャン・ボーホン)選手は、パリ五輪の体操で銀メダル2個を獲得し、世界選手権で2度優勝したトップ選手だ。AFP通信によると、その張選手でさえ、16日に空港に到着した後、チームメートとともに登録や書類手続きで6時間待たされた。ようやく宿舎のクルーズ船までたどり着いたものの、今度は大雨で乗船できなかった。

翌17日に公開された動画で、張選手は、「もうくたくただ」と口にした。「朝7時に朝食をとった後、次に食事ができたのは夜7時近くだった」という。12時間近く、食事をとれなかったことになる。

同じ中国選手団のバドミントン代表は、移動手段の確保に苦労した。シャトルバスにトラブルが生じたうえ、公共交通機関の切符も不足していた。AFP通信は新華社通信の報道を引用し、在名古屋中国総領事館の呼びかけで、地元在住の中国人が代表を車で送ったと伝えた。

インド選手団にも、日本に住む同胞が支援を申し出た。アルジャジーラによると、宿泊施設の不足が続く場合に備え、名古屋に住むインド人の約2000家庭が、選手を自宅に泊めると名乗りを上げている。