肝臓を守るために避けるべきアルコール飲料は何か。肝臓外科医の尾形哲さんは「急性アルコール性肝障害による入院患者のほとんどが、多量に摂取していたアルコール飲料がある。肝臓をいたわりたい方は決して手を出してはならない」という――。
※本稿は、尾形哲『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
酒は少量でも肝臓にとっては毒
「酒は百薬の長」とは、適量の酒はどんな良薬より健康によい、という飲酒を賛美したことわざです。
しかし、最初にお伝えしておきましょう。酒は、肝臓にとっては少量でも毒です。脂肪肝・脂肪肝炎を短期間で改善したいのならば、断酒が最も効果が高いのです。
アルコール性肝障害の初期症状は脂肪肝です。過剰飲酒者(1日のアルコール摂取量がエタノール換算で60g以上の方)の90%以上に脂肪肝が認められます。
まず、「なぜアルコールを飲むと肝細胞内に脂肪が溜まっていくか」を理解しておきましょう。
アルコール摂取で、肝細胞内に脂肪が蓄積されるメカニズムは次の4つです。
1 糖新生(脂肪や筋肉からブドウ糖を生成すること)が抑制される
2 脂肪酸β酸化(脂肪酸からエネルギーを生成すること)が低下する
3 肝細胞内での中性脂肪合成を高める
4 皮下脂肪・内臓脂肪から遊離脂肪酸を動員する
2 脂肪酸β酸化(脂肪酸からエネルギーを生成すること)が低下する
3 肝細胞内での中性脂肪合成を高める
4 皮下脂肪・内臓脂肪から遊離脂肪酸を動員する
すなわち、アルコールは、脂肪をエネルギー源として使う機能を低下させて、脂肪を溜めこむ機能を高めてしまうのです。
アルコールを毎日飲みながら、肝臓の脂肪を落とす試みは、まるで下りのエレベーターを逆走して上がろうとするようなもの。非常に効率の悪い努力です。
肝臓に溜まっていく脂肪の由来は、食べ物からはわずか15%で、皮下脂肪や内臓脂肪が溶けて血液で流れてくるのが60%、糖を中性脂肪に変換するのが25%です。
アルコールは、肝臓に溜まる脂肪の85%分をさらに増加させる方向に進ませてしまうのです。
酒のつまみに肉や脂、飲酒後の締めにラーメンなど炭水化物をとる習慣が加われば、脂肪肝は悪化の一途をたどってしまうことでしょう。


