酒はやめずに減らすという考え方
「アルコール依存症」とは、お酒を繰り返し多量に飲んだ結果、飲酒したいという欲求を自らコントロールすることができなくなる病気です。
アルコール依存症は、肝臓を障害し健康を損ねるだけでなく、仕事、家庭生活に大きな支障をきたします。
私は、お酒の飲み過ぎで家族関係を崩壊させていく現場を数多く見てきました。お酒は上手に付き合わなければ、人生を棒に振ってしまう可能性のある飲み物なのです。
また、アルコール性肝障害から肝硬変になっても、アルコール依存症を伴う場合は、断酒状況や再飲酒リスクなどを含め、移植施設で慎重に適応が判断されます。
依存症でないと判断された場合でも、生体肝移植の場合は半年以上、脳死移植登録には1年半以上の禁酒期間が義務付けられています(肝臓癌に対する手術を受けるためには、飲酒歴や依存症の有無を問われることはありません)。
まず大酒家ご本人、そのご家族の方に知っておいていただきたいことがあります。
それは「お酒をやめることができないのは、意志の弱さとは無関係」であり、「やめられないのが、病気の症状である」ということ。酒が切れると禁断症状のため、そのつらさに耐えることができずに飲んでしまうのです。
お酒に強い人ほど依存症になりやすい
アルコール依存症には、なりやすい体質があることが判明しています。依存症になりやすいのは次のような方です。
2 飲酒後、心地よい酔いが味わえる(アルコール感受性が高い)人
すなわち、お酒に強い人のほうが、依存症になりやすいのです。この依存症へのなりやすさは、性格の問題ではなく、遺伝子で決まります。
家系に大酒家がいる方は、依存症の予防をしていくことが大切です。
毎日の飲酒をやめることができずに、肥満による脂肪肝炎とアルコール肝障害のダブルパンチで、肝障害がすすんでいく方が近年多くなってきています。
しかし、依存症と診断されても、ご本人が断酒治療を行っている専門機関での治療を拒否することが多いという問題があります。
実際、アルコール依存症の生涯経験者は国内に約107万人いると推計されていますが、専門的な治療を受けている方は、わずか5万人なのです。

