架空国家「ゴルバド」の舞台になった地
シルクロードの要衝として栄え、東洋と西洋の魅力が交差する国、アゼルバイジャン。密集した旧市街の向こうには近代的な曲線で炎をかたどったタワーがそびえ、文化圏の垣根も時代も超越した不思議な光景が広がる。
カスピ海に臨む同国は、11月8日に最終回を迎えるTBSの人気ドラマ『VIVANT』第2シーズンで重要な舞台となっている。エンタメニュースサイトのENCOUNTによると、2023年7月期に放送された前作は、モンゴルで2カ月半に及ぶ長期ロケを敢行。最終回の世帯平均視聴率は19.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。架空の国家「バルカ」を舞台に陰謀と逆転劇が渦巻く1〜10話のテレビ放送の総視聴人数は、タイムシフト視聴を含めて累計6000万人を超えている。
主人公・乃木憂助(堺雅人)が約2年10カ月ぶりにテレビ画面に舞い戻った今回の第2シーズンでは、シリーズ最大の衝撃を経て、物語の舞台は架空国家「ゴルバド共和国」へと突入。信頼と裏切り、そして国家同士の策略が交錯する壮大なストーリーを、ロケ地となったアゼルバイジャンの美しい街並みや山岳地帯が彩る。堺さん自身はTBSラジオの番組で、現地での撮影は実に約2カ月に及んだと振り返っている。
かつて「第2のドバイ」と呼ばれた産油国
現地の人々は『VIVANT』の撮影隊をよく覚えていた。
劇中で「イスラエル」として登場したバクー旧市街のシルバンシャー宮殿を今年7月、朝日新聞の中川仁樹モスクワ支局長が訪れている。現地の露天商は、「たくさん果物を買ってくれて、一番人気はスイカだった」と話す。福澤克雄監督は放送前の取材でロケ先を「超親日国です」と語っており、アゼルバイジャンを指していたと考えられている。
アゼルバイジャンは旧ソ連の産油国で、広さは北海道ほど。「火の国」とも呼ばれるこの国は、ソ連崩壊後に資源高の波に乗って急成長し、「第2のドバイ」とまで呼ばれた。
だが、ドラマの画角の外に目を向けると、石油マネーを注ぎ込んだ巨大開発の数々は明暗が分かれた。カスピ海に数十の人工島を造成する野心的な計画は停滞。アメリカのドナルド・トランプ大統領の会社が関与しながら、開業に至らず手を引いたホテルもあった。

