ストロング系チューハイは「薬物」

2019年大晦日、薬物依存症の専門家、松本俊彦先生(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部・部長、薬物依存症センター・センター長)のストロング系チューハイに対するFacebook投稿が話題になりました。

以下に、その内容を引用しご紹介します。

ストロング系チューハイは「危険ドラッグ」として規制した方がよいのではないか、半ば本気でそう思うことがよくあります。私の臨床経験では、500mlを3本飲むと自分を失って暴れる人が少なくありません。

(※許可を得て一部修正。以下は著者。)

大抵の違法薬物でさえも、使用者はここまで乱れません。
結局あれは、「お酒」というよりも、単に人工甘味料を加えたエチルアルコール=薬物なのです。(以下略)

ストロング系チューハイは「薬物」、この言葉に私は強い共感を覚えました。といいますのも、新型コロナウイルスの世界的蔓延の年であった2020年は、急性アルコール性肝障害の入院が、私にとって過去最多であったからです。

急性アルコール性肝障害による入院患者のほとんどが、ストロング系チューハイの多飲によるものでした。コロナ自粛によって、休職、失職をやむなくされた方々が、入院を要するほどの、多量の飲酒をしていたのです。

缶からグラスに注ぐお酒
写真=iStock.com/MichikoDesign
※写真はイメージです

多飲で救急搬送された30代男性

ある30代の男性は、ストロング系チューハイ500ml缶を1日6缶、7日間飲み続けて、救急搬送されてきました。

意識は混濁こんだくし、顔面はパンパンに腫れ、全身は浮腫むくんでいました。

CTをとると、肝臓は大きく腫れて脂肪化しており、総量10l以上もの胸水と腹水が溜まっていました。正常値30U/LのAST、ALTはいずれも1000U/Lを超えていました。これは、急激に肝細胞が破壊されていることを意味します。

この方は、もともとアルコール多飲の習慣はなく、肝硬変に至っていなかったため、集中治療で一命を取りとめ、断酒により肝機能が正常になるまでに回復しました。

9%チューハイには、500mlで36gのエタノールが含まれています。

一般的な5%のビールに換算すると、毎日500mL缶約11本分を7日間飲み続けたことになります。松本先生が書かれているように「意識を失う、暴れる」のも大変なことですが、この患者さまのように、致命的な肝不全にもなりうるのです。

ストロング系チューハイは、肝臓をいたわりたい方は決して手を出してはならないアルコール飲料といえるのではないでしょうか。